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図面管理から設計者を解放する「TERNO」 現場の声に耳を傾けCCTと取り組んだ開発の軌跡

図面管理から設計者を解放する「TERNO」 現場の声に耳を傾けCCTと取り組んだ開発の軌跡
左から
八千代エンジニヤリング株式会社 事業統括本部 国内事業部 構造・橋梁部 副部長 阿部 雅史 様
株式会社コアコンセプト・テクノロジー エンタープライズSI事業本部 システム開発部 副部長 三浦 洋平

※肩書は取材当時のものです

八千代エンジニヤリング株式会社

創業 1963年
業界 総合建設コンサルタント
事業内容 国内トップクラスの総合建設コンサルタントとして、国土交通省を始め官公庁から公共事業を受託し、社会インフラや環境保全に関する技術コンサルティングサービスを、設立より60年以上にわたって提供しています。近年は、これまで培った技術ノウハウを民間企業へも提供しビジネスの領域を広げています。
URL https://www.yachiyo-eng.co.jp/

総合建設コンサルタント会社として、道路や橋、トンネルなどの社会インフラ整備に携わる、八千代エンジニヤリング株式会社。
事業計画や計画、設計、施工管理、完成後の維持管理など、施工を除く各段階で建設プロジェクトに携わる社会インフラ整備のプロフェッショナル集団です。

インフラ設計の現場では、設計内容の誤りや矛盾を第三者がチェックする「照査」の過程で、紙への赤入れや人力での照合作業に多くの時間を要し、設計者の業務負荷や修正の抜け漏れリスクの一因となっています。また、修正過程で図面ファイルが乱立し、最新版の管理コストが増加することも課題となっていました。
八千代エンジニヤリングでは、この課題を解決するため、AIを活用した図面管理アプリケーション「TERNO(テルノ)」をCCTと共同開発。その結果、設計業務全体の作業時間を約30%削減することに成功しました。

なぜ同社は自社開発という選択をしたのか。CCTとの開発プロジェクトはどのように進んだのか。いかにして短期間で現場に適合させたのか。
八千代エンジニヤリング株式会社 事業統括本部 国内事業部 構造・橋梁部 副部長の阿部雅史氏にお話を伺いました。

  • 課題・要望
    • 設計業務に付随する図面管理や照査確認といった非付加価値業務が年々増大し、紙の赤入れや人力照合に依存するプロセスが設計者の負荷・抜け漏れリスクとなっていた。本来の設計業務に割ける時間も圧迫されていた。
    • 照査の過程では図面ファイルが乱立し、最新版が分からなくなるなどの管理コストが常態化。既存ツールでは現場のワークフローに合った自動化・効率化が実現できず、業務全体の最適化には限界があった。
    • これらの課題を抜本的に改善するため、「アナログ作業からの脱却」「属人的な図面管理の解消」「設計者の生産性向上」を同時に実現できる新たな仕組みを求めていた。
  • 解決策・ソリューション
    • Boxと連携した図面照査クラウドアプリ「TERNO」を開発。紙の赤入れといった照合・修正確認をAIによる自動差分抽出でデジタル化し、付帯作業の負荷を大幅に軽減した。
    • ファイル乱立問題には「版管理ダッシュボード」を実装し、最新版の一元管理と複数人での効率的な上書き作業を可能にした。また、大容量データを軽快に扱える「軽量3D Viewer」については、CCTが自社で培ってきた開発基盤「Orizuru」を活用することで、短期間かつ低コストで高速表示と拡張性を両立した。
    • また、ミニマム機能から段階的に拡張する開発アプローチを採用し、現場フィードバックを反映しながら業務フローに自然に馴染む仕組みを構築。アナログ脱却・属人性排除・生産性向上を同時に支えるシステム基盤を整備した。
  • 効果
    • AI差分抽出により、修正箇所の確認・照合が大幅に効率化し、設計者が本来の業務に集中できる環境が整った
    • 版管理ダッシュボードの導入により複数ファイルが乱立する状況が解消され、最新版探索の手間がなくなった。
    • これらの改善により業務全体の所要時間が約30%削減され、より精度の高い設計成果物を生み出すための時間創出につながった。

お客様の声

―TERNOは阿部様の発想で開発が始まったとお伺いしています。作ろうと思ったきっかけとしては、どのような理由があったのでしょうか。

阿部:開発のきっかけは、「部下の業務負荷をなんとか軽減できないか」と思ったことです。

私は、構造・橋梁部という部署で副部長を務めており、課のメンバーは主に鉄道の橋の建設案件に関わっています。鉄道の橋は、道路の橋などに比べて取り扱う図面の数が多く、しかも、1人が複数の案件を並行して担当することが多い状況です。そのため各自が膨大な数の図面を管理しなければなりません。

3年ほど前に行ったヒアリングで、「何か困っていることがないか」と聞いたところ、「設計業務そのものではなく、図面の管理や修正履歴のチェックといった付帯業務の負担が大きい」という意見が多数寄せられました。

部下の業務負荷は軽くしてあげたいですが、かといって受注案件を減らすわけにはいきません。アウトプットの質や量を減らさずに仕事を楽にできるような環境を整えることがマネージャーとして自分がやるべきことです。そこで「業務効率化につながるツールを用意しよう」と考えたのが、TERNO開発の大きな理由です。

ー設計図面に関する付帯業務はいろいろとあると思いますが、具体的にはどのような業務が皆さんの負担になっていたのでしょうか。

阿部:設計内容に誤りや矛盾がないかどうかを第三者がチェックする「照査」という工程があります。

照査をする際、一般的にはチェックする人が設計図面のデータを紙にプリントアウトして、修正してほしい内容を赤色で書き込みます。そして、設計担当者はその赤入れされた修正内容をデータに反映させます。

最終的には、複数の人がチェックした修正履歴をすべて突き合わせて、修正指示された場所が抜け漏れなくデータに反映されているかを確認し、「照査した」という報告書も作成しなければなりません。

1つひとつは小さな作業かもしれませんが、50枚、100枚という単位で修正内容がデータに漏れなく反映されているか、修正履歴をすべて追って確認するのは大変です。

しかも、照査する第三者は複数人いるため、1つの図面に対して「〇〇確認中」とか「〇〇修正版」といったたくさんのファイルが存在し、どれが最新なのか更新日付を見ないとわからないという問題が常態化していました。

そんな中で、例えば次の案件で忙しいにもかかわらず、上司から何か月も前の図面について「最新版はどこにある?」といった質問が急に来たりするのです。「図面管理が大変で負担が大きい」という意見は多数ありました。

ーTERNOは、そうした課題をどのように解決する仕組みになっているのでしょうか。

設計・照査業務を効率化する5つの機能を持つBox連携AIアプリ
設計・照査業務を効率化する5つの機能を持つBox連携AIアプリ

阿部:TERNOでは、AIを活用して設計業務をさまざまな面からアシストしています。

例えば、照査に関しては「AI差分抽出機能」があり、修正した図面をTERNOに更新登録すると、修正前後の図面を対比して確認できるようになっています。

また、修正履歴をExcel形式で出力する機能があり、クライアントに最終的に提出する「照査履歴一覧表(レビューリスト) 」という資料もボタン一つで作成できるようになりました。

さらに、同じ名称のものであれば、異なるファイル形式でも同一ファイルとして自動で仕分ける「版管理ダッシュボード」の機能によって、修正段階ごとに複数のファイルが存在する状態も解消しました。

その1つのファイルを複数人で上書きしながら修正し、さらにその修正履歴も残るので、「どれが最新版のファイルかわからない」といった問題もなくなりましたね。

ーTERNOを自分たちで作ろうと思ったのはどのような理由からでしょうか。

阿部:「すでに世に出ているツールが使えるのではないかと思い、まずは調べました。図面を管理したり差分比較できるアプリケーションはいくつか見つかったのですが、それらは工業製品向けの図面を主な対象としており、当社が扱うような橋梁など土木図面特有の情報量や複雑さに対応できず、差分精度にも課題がありましたので、そのまま導入するのは難しいと判断しました。

そこで、メーカー側に当社用にカスタマイズできないか相談したところ、必要な対応が多岐にわたり、かなり高額になることがわかりました。現場の業務フローに合わせて柔軟に改善していくことも難しそうだったため、『それなら自分たちで作ったほうが良いのでは』と考え、自社主導での開発を決断しました。」

ーCCTにお声掛けいただいたのはどのようなきっかけだったのでしょうか。

阿部:ちょうどそのころ、国のDXなどに関する委員会でご一緒する機会があり、当時感じていた図面管理の状況などについて相談しました。その際の返答が「課題を解決するためには何が必要か、システムそのものだけではなく、幅広い視野で考えてくれている」と感じられたため、正式にお願いすることにしました。

ー実際に開発の協力を依頼して良かったと感じた点はありますか?

阿部:システムエンジニアの会社に開発協力をお願いする際は、最初から細かく要件などを決めてその通りに進めてもらう形が一般的かと思います。

しかし、CCTさんの場合は、まず私たちがどんな流れで仕事をしていて、何に悩んでいるのかを細かく聞き取りするところからスタートしてくれました。

こちらからお願いしたことを言われたままこなすだけではなく、全体を理解した上で背景にある課題をキャッチアップし、必要に応じて「それだったらこちらのやり方の方が適している」と提案してくれるなど、より良いものを作ろうという意識を感じましたね。

それから、スピード感に対しても期待以上のものがありました。業務フローの整理からPoC(ミニマム版)の提示、アジャイル的に現場の声を取り込みながら改良していく進め方は、”CCTさんならでは”だと感じました。
会社の費用で開発している以上、どうしても早い段階で成果を求められますが、CCTさんはまずミニマムの機能を作って見せてくれて、そこから現場のフィードバックを受けながら段階的に機能を拡張していく形で進めてくれました。

実際の画面を見せながら改善していくプロセスは、まさにアジャイル的な進め方で、計画の要所で社内に成果物を示しながら合意形成ができたのも良かった点です。

実際に現場に触ってもらいながら一つひとつ機能を追加していったので、「作ったものの現場業務に合わない」というよくある問題もありませんでした。

手戻りも少なく、完成までの流れがとてもスムーズで、現場の作業に寄り添った使い勝手の良いものができたと思います。

ーTERNOが完成して、社内からはどのような反応がありましたか。

阿部:図面管理や照査に関する確認作業などが軽減されたことで、現場の設計者たちからは、「ストレスがなくなった」、「より創造的な業務に時間を割けるようになった」という声が挙がっています。

数値にも効果が見えています。修正箇所の確認や修正履歴の一覧表を作成するなどの業務時間が短縮され、膨大な数の図面を管理する負担もなくなりました。設計業務全体にかかる時間は、導入前に比べて3割ほど削減できています。

ー今後の展望について、お聞かせいただけますか。

阿部:TERNOは、2025年6月から無料体験版を公開し、ユーザーの皆様から寄せられたさまざまな声を生かして、機能改善などを行ってきました。

現在は正式に外部の皆様に使っていただく準備が整い、2026年7月から提供を開始しました。

TERNOは、現場での使い勝手の良さを最優先に作った、設計者による設計者のためのアプリケーションです。当社のような設計に携わってきた会社だからこそできる課題解決を目指して、自社の社員だけではなく、設計に関わる業界の皆様の助けとなるツールになるよう、今後も改善を続けていきたいと思います。

ショート版 ( 1分33秒 )

動画ロングバージョン(Koto Online)

Koto Onlineの対談記事はこちらです

「部下を楽にしたい」がDXの原動力。設計業務時間を3割削減したTERNO開発秘話 | Koto Online

TERNOについて詳細はこちらよりご覧ください
【TERNO】設計図面の一式の課題をひとつで解決するクラウドアプリ

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