IT人材調達支援 金融業
決め手は「スピード」と「フォロー体制」。FFGがCCTと進めたDX内製化のリアル
右:株式会社コアコンセプト・テクノロジー エンタープライズSI事業本部 リソースコンサルティング部 部長 竹井 康浩
左:株式会社コアコンセプト・テクノロジー エンタープライズSI事業本部 リソースコンサルティング部 松野 美希
※肩書は取材当時のものです
株式会社ふくおかフィナンシャルグループ
| 創業 | 2007年 |
|---|---|
| 業界 | 金融業 |
| 事業内容 | 総資産規模国内最大級の地銀グループ。銀行業務に加え、証券、リース、M&Aコンサルティング、IT関連事業などを手掛け、地域密着型で総合的な金融ソリューションを提供 |
| URL | https://www.fukuoka-fg.com/ |
福岡銀行、十八親和銀行、熊本銀行など5行を傘下に持ち、九州全域で事業を展開する地域金融グループ・ふくおかフィナンシャルグループ(以下、FFG)。
それぞれの部署ごとの「個別最適の効率化」から脱却し、全社視点の改革を実現するために、2022年にDX推進本部を設立しました。業務プロセスそのものの刷新や新たな価値創造に取り組んでいます。
FFGがDXを推進する上でこだわったのが「内製化」。ビジネスパートナーであるCCTと、どのように開発に取り組み、歴史ある銀行組織をどのように変革してきたのでしょうか。
ふくおかフィナンシャルグループ DX推進本部 副本部長 兼 システムソリューション部 部長の根上竜也氏にお話を聞きました。
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課題・要望
- ウォーターフォール中心の開発・意思決定プロセスのため、リリース時には時代に合わなくなる可能性など、全体のスピード面に課題があった
- 外部ベンダーへの委託が中心となり、機能追加や改善のたびに大きな工数とコストが発生し、柔軟な対応が難しかった
- 「紙」「対面」前提の業務プロセスや部署ごとの個別最適が、DX施策の全社的な定着に時間を要していた
- 内製化の方針を掲げるも、即戦力となる社内エンジニア人材の確保にも課題を抱えていた
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解決策・ソリューション
- 新たな投資協議会として「DX投資協議会」を設置し、小さく始めながらスピーディーに判断・実行できる社内プロセスを整備
- 開発手法をウォーターフォール中心からアジャイル開発へ転換し、設計・実装・テストを短いサイクルで回す運用を定着
- 社長直下に部署横断のDX推進本部を設立。内製化方針を明確化し、ビジネスパートナーと協力しながら自社主導の開発体制を整備
- CCTのIT人材調達支援を活用したエンジニアの迅速な確保と、稼働後のフォロー体制の充実による定着・パフォーマンス向上
- DXを自分ごととして捉える風土・マインド醸成のため、現場との対話やワークショップなどを継続的に実施
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効果
- アジャイル開発を基本とした開発手法を取り入れ、様々なプロダクトの内製化を行う。内製プロダクトの1つである個人バンキングアプリにおいては年間500項目以上のリリースを達成。顧客・行員からの要望に即時対応できる開発体制を実現
- 内製化により、複数のサービスを継続的にリリース。外部委託時には困難だった柔軟な改修・機能追加が可能となり、一定の品質・統制を保ちながら継続的な改善体制を実現
- DX推進本部の急成長。設立当初約10名だった組織が、およそ4年後には200名規模に拡大。FFG全体のDXを牽引する中核組織として確立。内製開発を担うシステムソリューション部においても社員100名を超えた組織に拡大
お客様の声
ー最初に、根上様の所属されているDX推進本部について、設立の経緯や目的などを教えていただけますか。
根上氏(以下、敬称略):DX推進本部ができたのは、2022年の4月です。私はもともと、システム受託開発事業を手がける会社などを自身で起業し、2018年に入行しました。FFGに入ってからも東京で仕事をしていたのですが、DX推進本部が立ち上がると同時に、DX推進本部に配属となり、福岡に来ました。
設立の背景には、私たちグループ傘下の銀行が抱えていた、「縦割り」、「個別最適」という課題がありました。例えば、各部署が現在の業務プロセスを前提にして、それぞれ必要なツールを個別に導入したために、全体でシステム連携ができないといった問題です。
銀行の業務プロセスというのは、多くが「対面」「紙の使用」がベースとなっており、DXを推進するためには、今の時代にあった形で業務プロセスそのものから抜本的に見直すことが必要です。
しかし、全体の効率を考えてプロセスから変革をしたくても、「これだと品質担保が難しい」とか、「この業務は外さないでほしい」とか、各部署それぞれから、自分たちの業務のみを考えた反対意見が出てきてしまいます。
落としどころを探りながらなんとか前に進み、抜本的な改革を実現するためには、いわゆる「横串を通す」ようなグループ横断の組織が必要だということで、社長直下にこのDX推進本部が設立されました。
設立当初は約10名だった組織ですが、およそ4年後には200名規模まで拡大しています。
ーDX推進本部としていろいろなことに取り組んできたと思いますが、主な施策や考え方について、お伺いできますか。
根上:まず一つは、硬直的なプロセスを変革し、スピード感を持って動けるように、「仕組み」や「プロセス」の見直しをしました。
例えば、これまで何かシステムを入れるためには、「IT投資協議会」という社内の協議体にはかって承認を得ることが必要でした。コスト削減という意味では有益な仕組みなのですが、承認されるためには企画や要件定義を最初に詰めて、かなり詳細な見積もりを取る必要があります。
また、開発手法も比較的長期化しやすいウォーターフォールが一般的でした。そのため、せっかく承認されてもリリースされた時にはすでに時代に合っていない、ということが多かったのです。
DX推進本部では、IT投資協議会とは別に「DX投資協議会」という協議会を設置し、フレキシブルに新しいものを試せる環境を構築しました。
開発もウォーターフォールから、アジャイルという設計やテストなどを小さなサイクルで繰り返す手法に変更しました。アジャイルでは途中の仕様変更もしやすいため、開発途中で何か事情の変化があっても柔軟に対応し、その時に最適な形を、スピード感を持って開発することができます。
ーまずは仕組みから変革なさったのですね。あわせて、開発そのものも外部委託から内製化へとシフトなさっています。内製化にこだわったのはどのような理由があったのでしょうか。
根上:銀行がシステムを導入する場合、これまでは外部へのいわゆる「丸投げ」が一般的でした。大手ベンダーから提案書をもらい、依頼先が開発する。銀行は出来上がったものを導入するだけです。
外部にお願いするメリットもありますが、この手法だと柔軟性という面で大きな課題を感じていました。例えば何か改修してほしい箇所があっても、都度、多額の費用がかかります。
見積もりをとって社内でまた承認を得て…とやっていると、ビジネス環境の変化に追いつけません。時間と費用の面で、ビジネスチャンスがあるにも関わらず改修を諦める、というケースもありました。
このストレスを解消するためには、やはり、同じ課題感を持つ内部のメンバーで、同じ方向を向いて開発する必要があると感じたことが、内製化を決めた大きな理由です。
内製化で、フレキシブルにスピード感をもって動けるようになったことを実感しています。例えば、2023年に個人向けのバンキングアプリをリリースしましたが、お客様や行員から上がってくる要望に対して、スピーディーに修正してリリースすることができるようになりました。リリースの数は年間500項目以上にものぼります。
ー開発そのものを委託するのではなく、人材のご紹介という形で、いろいろなビジネスパートナーと一緒に内製化に取り組んでおられます。当社・CCTにお声かけいただいたのは、どのようなきっかけがあったのでしょうか。
根上:CCTさんと最初にお会いしたときはご挨拶程度で終わってしまったと記憶しているのですが、営業の担当者が交代したタイミングで改めてオンラインでお話する機会がありました。それがこの内製化で協力をお願いしたきっかけになりました。
ーどのような理由から、お願いしようと思っていただけたのでしょうか。いいな、と思った点はありますか。
根上:何よりもすごいと思ったのはスピード感です。
内製化を始めた当時、やると決めたもののエンジニアが全く足りていない状況でした。そのため、私自身がエンジニアを派遣してくれる協力会社を100社以上行脚して回ったのですが、その中でも、スピードという点でCCTさんは他の企業を圧倒していました。
例えば「ちょっと何か提案してほしい」と伝えた場合、「検討します」と言って回答が1週間後、というのがよくあるパターンです。一方でCCTさんの場合、翌日には具体的な提案を返してくれます。自分は仕事をする上で、スピードを重視しているので、この点は大きな決め手になりました。
それから、あらゆる人材のデータベースを持っていて、こちらが求める人材をすぐに提案してくれたのも大きかったですね。この点に関しても、スピード感が素晴らしかったです。仮に「3か月後なら稼働可能です」と言われてしまうと、たとえ良い人材だったとしても、お断りせざるを得ません。質の高い人材を、スピード感をもって対応してくれる、というのは大きな魅力でした。
ー一緒に開発を進める上で、お願いして良かったと感じていただけた点はありますか?
根上:エンジニアのフォローアップ体制です。
紹介いただいた人が実際に仕事を始めてからも、「この方の状況はどうですか。特に問題はないでしょうか」と細かく確認がありました。定期的な面談などを通じて、十分に能力を発揮できるよう、さまざまな観点でフォローがありました。
恐らく、仕事をしていて何か気になることや悩みがあっても、私たちには言いづらいこともあると思います。そうしたことも丁寧に聞き取って、問題が大きくなる前に解決に向けて動くことができました。
契約して以降は特に何もせず、契約終了まで基本はこちらにお任せ、という営業も多かったので、その点でも助かっています。
ーありがとうございます。根上さんがDXを進める上で大切にしているポリシー、もっとも意識したポイントは何でしょうか。
根上:FFG全体でDXを推進しようという風土づくり、マインドの醸成です。
やはり、いくら本部が「こうしよう」「ああしよう」と言っても、組織の風土や1人ひとりのマインドがついてこないと本当の意味でDXを実現することはできません。現場を巻き込みながら、「よしやるぞ」という空気をいかに醸成するかを大切にしています。
できるだけ顔と顔を突き合わせてコミュニケーションをとることを意識しました。
実際に営業店に足を運んで課題を見つけて、一緒に解決に取り組んだり、業務時間だけではなく支店の方たちと一緒にお酒を飲みに行ったりもしています。人と人としてのお付き合いができるかどうかが、やはり重要です。
そうやって人間関係を築いていくと、最初はDXに懐疑的だった方たちも、徐々に協力してくれるようになりました。
10年後、20年後も銀行は今のままでよいのか、将来における自分たちの存在意義は何なのか、皆さん、何かしら課題を感じているのは同じです。その課題解決のために一緒に改革していきましょうと丁寧に説明をして、一緒に取り組める風土づくりに取り組みました。
ー取り組みを通じて、風土づくり、マインド醸成は進んだでしょうか。実際に変化を肌で感じることはありますか。
根上:DX推進本部が出来上がった当初は、「また何か新しい部署が立ち上がって、何かやろうとしているな」といった疑念をあらゆる部署が抱いていたと思います。
それが現在では、DXは「当たり前のこと」になっています。先日実施した業務変革のアイデアを募るプロジェクトでは、100件以上もの応募があり、本部側が対応できないくらい盛況でした。現場から変えていこうという組織に変革できたことが一番大きいかなと思います。
DX推進本部の最終的なゴールとしては、こうした組織が「不要」となることです。推進本部がなくても、DXが当たり前のこととして浸透し、現場からどんどん改革が進むようになれば、組織としてのミッションを達成できたと言えるのではないでしょうか。そんな未来を目指して、今後も取り組んでいきたいと思います。
Koto Onlineの対談記事はこちらです
DX推進本部のゴールは「現場の自走」 ふくおかFGが挑む、技術と文化を融合させる「10年後の銀行」づくり