Case Studies

事例紹介

DX支援(クラウドソリューション・他) 建設業

「共創パートナー」として取り組むものづくり、要件の背景にある目的を理解し共に歩む

「共創パートナー」として取り組むものづくり、要件の背景にある目的を理解し共に歩む
右から
清水建設株式会社 NOVARE DXエバンジェリスト 及川 洋光 様
清水建設株式会社 NOVARE コンダクター 濱田 淳司 様
株式会社コアコンセプト・テクノロジー エンタープライズSI事業本部 デジタルデータデザイン部 部長 原田 浩充
※肩書は取材当時のものです

清水建設株式会社

創業 1804年
業界 総合建設業
事業内容 「建設事業(建築、土木、海外建設)」を柱に、「不動産開発」「エンジニアリング」「グリーンエネルギー開発」「建物ライフサイクル」「フロンティア」の5分野で事業を展開
URL https://www.shimz.co.jp/

次世代の人財育成とオープンイノベーションの拠点として2023年にオープンした、清水建設の「温故創新の森NOVARE」。建物と人とが共創する未来の姿の実現に向けて、さまざまな新しい試みにチャレンジし、その取り組みの様子を来場者にわかりやすく伝えることで、内外に理解を広げることを目指しています。

その一つが、「多棟エネルギーマネジメント」の状況をリアルタイムで可視化すること。入口に掲げられた3つの大きなモニターに、BIツール「MotionBoard」を使ったグラフなどが表示され、複数の建物のエネルギー消費やエネルギーを融通しあう状況をリアルタイムで把握できるようになっています。

共に考えながら作る「共創パートナー」としてCCTと取り組んだMotionBoardの導入について、プロジェクトの概要や二人三脚で乗り越えた壁、今後NOVAREが目指す姿などについて、清水建設株式会社 NOVARE DXエバンジェリスト・及川洋光氏とNOVAREプロモーションユニットコンダクター・濱田淳司氏にお話を伺いました。

  • 課題・要望
    • 「温故創新の森NOVARE」のコンセプトや、NOVAREで取り組んでいる新しいエネルギーマネジメントの仕組みを、来場者にわかりやすく視覚的に伝えたい
  • 解決策・ソリューション
    • 来場者が最初に目にする場所であるエントランスに大きな3連モニターを設置。MotionBoardを使って、NOVAREのエネルギー消費や複数の建物がエネルギーを融通しあっている様子をグラフや図解で表示した
  • 効果
    • 来場者からは多くの好評の声が寄せられた。再生エネルギーに興味を持った企業からの商談につながるケースも増えている

お客様の声

温故創新の森NOVARE
温故創新の森NOVARE
旧渋沢邸
旧渋沢邸

― 最初に改めて、NOVAREの概要や取り組み内容について教えてください。

及川:「温故創新の森NOVARE」は、次世代の人財育成とイノベーション拠点として、2023年の9月4日にオープンしました。「NOVARE」とは創作する、新しくするという意味を持つラテン語からきています。加えて、新しいものを創るだけではなく、歴史を振り返り、清水建設の220年の歩みの中で積み上げてきた技術や伝統を大切にしながら、さまざまなチャレンジをする場になっています。

その考え方に沿って、例えば、一人ひとりの好みに応じた超個別空調システム「ピクセルフロー」、フリーアドレスをさらに進化させた「ノーアドレス」という働き方などに取り組んでいます。

― さまざまな新たな試みに挑戦するNOVAREにおいて、今回ご紹介するMotionBoardはどのような目的で導入したのでしょうか。

及川:NOVAREでチャレンジしている取り組みの一つが、新たなエネルギーマネジメントの仕組みです。MotionBoardは、この新しいマネジメント方法で動いているNOVAREのエネルギーが実際に今どのような状況になっているのか、実際のデータを隠すことなくリアルタイムで公開し、そしてNOVAREの考え方やコンセプトを来た人にわかりやすく伝えようと導入しました。

― 新しいエネルギーマネジメントとは、具体的にどのような仕組みですか。

濱田:一つ目は、水素の活用です。 従来の再生可能エネルギー活用では、太陽光発電で得た電力を蓄電池に貯めていましたが、蓄電池が満タンになると余剰電力が無駄になってしまうという課題がありました。そこでNOVAREでは、この余剰電力を水素に変換して貯蔵し、必要な時に水素から電力を生成する取り組みを進めています。

二つ目は、多棟エネルギーマネジメントです。 これまでは、再生可能エネルギーを生み出す過程のどこかで余分なエネルギーが生じた場合、一つのビルの中のほかの場所で使い効率的にするやり方が主流でした。NOVAREでは、敷地内にある4つの建物間で再生可能エネルギーを融通し合うことができるようにして、さらなる効率化に挑戦しています。

NOVAREでは、現在のエネルギー消費や建物間でエネルギーをやりとりしている状況を入り口に設置された大きな3連のモニターに表示しています。MotionBoardでグラフなどを使うことで、来館いただいた方に一目で分かるようにしています。

― BIツールを使って表示する際、さまざまな選択肢があったと思いますが、MotionBoardを採用したのはどのような理由からですか。

濱田:特徴が異なる多数のツールがありますが、通常のBIツールはグラフにしたり分析のためにドリルダウンしたりすることは可能な一方で、今回のように電力の流れなどをわかりやすく表現することはなかなかできません。イノベーションをNOVAREに来訪された方に直感的に伝え、興味を持って見ていただくという点ではMotionBoardが最適だなと感じました。

MotionBoardは再現率が高く、細かなところを自由度高く作りこむことができるのも魅力でしたね。表示されている画面も一番初めはラフ絵からのスタートだったのですが、画面の中に表示する図の大きさなども細かく調整して、いろいろと試行錯誤をしました。

フォント一つとっても種類が豊富なので、CCTさんとパソコンの画面上でいろいろと試し、実際のモニターで見えづらくないかを確認しました。

― 実際に導入をすすめる上で、苦労した点や目的達成のために工夫した点はありますか。

濱田:今回の画面では、現時点までの消費電力と今後の予測値を一つの棒グラフ上に表示しています。CCTさんの担当者からは、この部分が技術的にとても難易度が高く大変だったと聞きました。実際に完成したグラフでは、実際のデータが来ている現実の消費量を色付きで出す一方で、今後どのぐらいの電力が消費されそうかという予測値を灰色で表示しています。これをリアルタイムで時間の経過とともに変化させながら同じグラフ上で同時に見られるようになっています。

よくあるBIツールにあるような、閾値を線で出すやり方であれば比較的容易にできますが、それだと、今どのぐらいエネルギーが使われていて、このままの使用ペースだとどうなるかをお客様にパッと直感的に伝えることができません。エネルギーの最適化に挑戦しているNOVAREのコンセプトや、わかりやすく見ていただくという目的を考えると、やはりそれではダメだと考え、今の形にこだわって作ってもらった部分です。

― 共創パートナーとしてCCTを選んだ決め手はどこにありましたか。

濱田:MotionBoardの採用を決めた後、それを具体的に実装するベンダー様を決める必要があり、複数のベンダーを比較検討しました。

我々がやりたいことのラフスケッチを作成した上で、いくつかの会社様とお話ししたのですが、CCTさんは、なんのためにこれが必要なのか、実現したいことは何なのか、要件の背景にある目的やNOVAREの考え方をしっかりと理解した上で、「もっとこうしたらいいのでは」など積極的な提案もくれました。

「こういうものを作ってください」と依頼して、そのまま要件通りのものを納品してもらう、という甲乙の関係ではなく、CCTさんとならばまさに「共創パートナー」として一緒に考えながら作っていくことができるのではと感じ、CCTさんにお願いすることにしました。

― MotionBoardによって表示したモニターを見た方からは、どのような反応がありましたか。また、エネルギーマネジメントの仕組みをわかりやすく見せることで、NOVAREにとってどのようなプラスがあると感じていますか。

及川:来場してまず最初に大きく目に入る場所なので、みなさん興味を持って見てくださっています。発電されてエネルギーを融通し合っている様子が、矢印を目で追っていくことで自然と理解できるようになっているので、すごくわかりやすい、という声をたくさんいただきました。さらには実際に水素活用に興味を持ってくれた企業の方との商談につながるケースも増えています。イノベーションをわかりやすく伝えるという思いが形になり、私たちがやろうとしていることに共感いただけた、という手ごたえを感じています。

― 最後に、NOVAREで今後やりたいこと、目指す姿について教えてください。

及川:今回の取り組みでは、エネルギーマネジメントの仕組みを「わかりやすく伝える」ということを目指しました。今後は、この取り組みを生かし、NOVAREで私たちの考え方を理解いただき共感してくださった方たちに、エネルギー予測や最適活用を提案することにつなげていきたいと考えています。さらに、視覚障がい者向けの音声案内など、インクルーシブ(多様な背景や特性を持つ人々を分け隔てなく受け入れ、尊重し、排除せずに共生する状態や考え方)なデザインにも挑戦予定です。例えば目の不自由な方にもわかりやすく伝えられる、質問に答えるような対話する仕掛けができたらいいですね。

将来目指しているのは、「建物と対話できる世界」です。建物がまるで生き物のように人や社会に寄り添い、共に成長できる……そんな未来です。「建物と建物が対話する」だけでなく、「建物と街全体が対話する」だったり、「道路やダムといったインフラと対話する」だったり、様々な可能性を検討し、実現していきたいと思います。

ロング版 ( 4分44秒 )

ショート版 ( 1分54秒 )

Koto Onlineの対談記事はこちらです
前編:「イノベーションを見ていただく」にこだわって共創パートナーと二人三脚で挑んだものづくり
後編:ありたい姿を描き「バックキャスティング」で挑む NOVAREが目指す未来の世界とは