News

製造業DX成功のカギ「デジタルマニュファクチャリング」とは?

技術情報
2020-04-03

製造業DXとは

現在、日本だけでなくすべての国の製造現場においてあらゆる変革が求められています。変革を実現するためには、モノづくりの現場において、これまで培ってきたノウハウを従業員個人の経験値として頭と身体に蓄積するだけでなく、デジタル化により共有しやすくすることで、リードタイム短縮、生産性向上、品質向上などに生かしていくことが必要です。

これらのデジタルデータを活用して製造現場を変革していくことを、総称して「デジタルトランスフォーメーション(DX)」といいます。デジタルトランスフォーメーション(DX)推進の流れは昨今のコロナウイルス禍の影響により、そのスピードは急激に加速し、市場規模が拡大していると言われています。

製造業のビジネス現場において、デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現は、もはや必須のものとなると考えられます。

製造業DXが求められる背景

製造DXが経済全体に求められている理由は、以下のようなことが挙げられます。

労働人口の減少

日本では少子高齢化で、労働できる人口が減少しているのは叫ばれて久しく、出生率も上がらない状況において、今後も人的リソース不足は続いていくことは確実視されています。

その中で特に製造業は、肉体労働できついイメージ、機械などが危ないイメージ、単純作業でつまらないイメージ、上下関係など人間関係が厳しいイメージなどがあり、元々から恒常的な人出不足の傾向があります。

そのため、人の手が必要な作業をできるだけ減らすことは急務と言えるでしょう。

設備・システムの老朽化

製造業企業で使われている設備やシステム関係が古く、不具合が生じる、古くて効果効率を期待できない、新しく導入するシステムと連携できないなどの問題が生じています。

古いものでも維持やメンテナンスにお金や手間がかかり、だからといってできることが多い訳ではないので、生産性を上げるためには、企業は新システムへの移行は急務と言えます。

レガシーシステムの残存状況※図1 出典:経済産業省 2020年版ものづくり白書

新しい働き方への対応

2019年の法改正を契機に「働き方改革」が叫ばれ、また2020年の新型コロナウィルス蔓延も後押し材料となり、時間や場所にしばられない新しい働き方を認め、推奨していくことは、企業側に求められている重要事項の1つと言えます。

フレックスタイムの導入やリモートワーク、育児や介護の休暇といった多様な働き方を具体的に導入し、運用していくには、属人化しない仕事の仕組み化、システムによる管理が求められることになります。

新興勢力・海外勢力とコスパ競争

中国や韓国、東南アジアなどの企業が、安い労働力や原材料費を武器に、低価格な製品販売を行う流れが年々高まっており、これからの製造業は、それらの勢力と戦い勝つ必要があります。

コストパフォーマンスを上げるには、高い品質を実現するか、低価格に抑えるかのいずれか、または両方が求められます。そのためには、既存の製品を見直しグレードアップさせたり、製造工程を見直し効率化させるなどを行うことが考えられますが、そのためには既存の製品や使用シーンの可視化、データ化が求められることとなります。

稼働状況の見える化※図1 出典:経済産業省 2020年版ものづくり白書

製造業DX・製造現場デジタル化の意義~部品工場の例から

例えば、ある自動車用の部品を生産している工場の取り組みを見てみましょう。多くの製造現場では、生産個数、完成品の品質、出荷個数などの「その部品が工場で作られ、出荷されるまで」の情報しか管理ができないという課題があります。
製造業DX(トレーサビリティ基点)
この場合ですと、その部品が組み込まれた自動車に故障が発生し、おそらくこの部品が不具合の原因だろうと特定された場合でも、「その部品が生産されたであろう工場」までしかさかのぼることができません。

この部品に、トレーサビリティと呼ばれる、「どの工場でいつ生産されたものか」という情報が入っていたらどうでしょうか?

不具合が発生した原因と思われる部品を製造した工場において、その部品を作り出すための鉄の溶解温度、冷却温度とその所要秒数、ドリルの回転速度などの「生産環境を記録したデータ」を後から呼び出すことができれば、なぜそのような不良品が出来上がってしまったのかなどの原因が特定でき、今後同様の不具合発生を防止すべく、対策を施し、生産管理を行うことができるようになります。

このように、製造現場におけるデジタルトランスフォーメーションの成功事例としては、「その商品や部品の出荷時」までの品質を担保するだけでなく、「出荷後」の品質まで追いかけることができるようにしたり、不良品が発生した際にその不良品を製造してしまった環境を呼び戻し、どこに問題があったのかを特定したり、同じ不良品を作らないための対策を施すことができるようにする、というものが挙げられます。

製造業DX成功のカギ「デジタルマニュファクチャリング」とは

従来の製造現場は「モノづくりをするところ」と定義されていました。しかし、これからは違います。今後はモノをつくり、製造過程のデータを収集するだけでなく、出荷後の販売データやアフターメンテナンスのデータも収集していくことで、より自社クライアントや最終消費者の要望に合った製品や部品を製造していくための「モノづくり+データづくり」として機能していくことが製造現場に求められているのです。

このように、モノづくりだけでなく、納品後に収集するデータも併せて活用し、生産性向上、品質向上、リードタイム短縮を実現するとともに、よりクライアントのニーズに近い製品を生産していくことを「デジタルマニュファクチャリング」といいます。

市場調査と分析で世界的に定評があるフロスト&サリバン社によると、デジタルマニュファクチャリングの市場規模は世界的に伸びていて、2016年から2021年にかけて年平均成長率7.1%で伸長していくと予想され、2021年には約65億USドルに達する見込みとのことです。

デジタルマニュファクチャリングに求められる技術とは

デジタルトランスフォーメーションやデジタルマニュファクチャリングを実現するためには、IoT、AI、RPAなど、これまで製造現場ではあまり見られなかった新しい技術を取り入れることが必要です。

例えば、RFIDタグの活用をイメージしてみましょう。RFIDタグを使えば、ID情報を埋め込んだRFタグから、電磁界や電波などを用いた近距離の無線通信によって情報を得ることができます。

先ほどの自動車部品の例では、一定以上の大きさの部品にはRFIDタグを埋め込んでおくことで、出荷後どころか、自動車に組み込まれた後、さらには街の中を走り、解体された後でも、その部品がいつどの工場で製造され、どのクルマの部品として使われていたのかなどを把握することができる、すなわちトレーサビリティが実現するのです。

製造業DX(トレーサビリティ基点)

RFIDという従来からある技術と近年急速に進歩しているIoT技術を組み合わせることにより、「出荷まで」だけでなく「出荷後」の管理ができるようになることで、製品そのものの価値だけでなく、その製品に付随するデジタル情報の価値をも付加することができるため、クライアントの満足度をより高めたり、製品単価を上げたりすることができるでしょう。

デジタルマニュファクチャリング実現のためのもう1つのポイント「プラットフォームの選定」

先ほど、デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現にはIoT、AI、RPAなど、新しい技術を取り入れることが必要とお伝えしました。

新しい技術を取り入れるためには、技術導入のための資金確保、IT人材の採用、設備の導入、従業員への教育や製造現場への組み込みなど、多くのハードルを越える必要があります。
また、もう一つ重要なのが、それらの新しい技術やサービスを管理するためのプラットフォームの選定です。

製造現場におけるIT化やデジタルデータ採取にとどまらず、製造部品の調達、原価管理、販売データ、営業データ、顧客管理など、すべての情報を一元管理できるような業務システムを導入・最適化することができれば、デジタルトランスフォーメーション(DX)戦略の成果をさらに大きくすることができるでしょう。

製造業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)とは、単純にロボットやシステムを現場に導入する、ということではありません。すべての製造プロセスや出荷後のデータを一元管理し、現場にフィードバックすることで、生産性と安全性が高く、製造コストが低く、そして何よりもクライアントに満足していただけるようなモノづくりができるようにすることを指すのです。

デジタルマニュファクチャリングの事例

  • 製品の検品や外観検査にAI技術を導入し、検査員のリソース不足や、人間の目視による検査で生じる誤りやバラツキをなくし、且つ時間短縮、スタッフの別業務充当を図る。
  • 製品の生産ラインにAI音響解析を導入し、熟練者の耳に頼ることなく、異常音を検知することで不良を軽減する。
  • VRやAR、MR技術を研修や従業員育成に導入し、現場で起こり得る状況を再現しつつ、高い精度のトレーニングを行うことで、生産効率の向上と不良率の低下を図る。
  • 建設機械に位置情報を取得する衛星測位システム、制御するコントローラー、慣性計測装置などを設置し、データを本部に共有。遠隔地からでも正確な状況を把握する。

まとめ:デジタルマニュファクチャリング実現のポイント

製造業DXのカギ、デジタルマニュファクチュアリングとは
今後、製造業だけでなくすべての業種においてデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みは加速していくと思われます。

ぜひ、自社にはまだ早いとおっしゃらずに、製造業だけでなく他業界も含めて、デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組み成功事例を収集してみてくださいね。

製造業DX関連コンテンツ

【サービス】製造業のためのIoT/AIソリューション「Orizuru」特設ページ
【メディア】デジタルトランスフォーメーション(DX)とは~取り組む必要性を解説
【メディア】製造業のデジタルトランスフォーメーション(DX) データ活用のポイント
【メディア】【製造業DX】スマート・マニュファクチャリングとは?
【メディア】【製造業DX】スマート・ファクトリーとは?
【メディア】【製造業DX】サプライチェーンマネジメントとは?
【資料】製造DX ~スマートファクトリー~
【資料】調達DX ~見積もり自動化技術~

Download files

contactお問合せ downloadダウンロード