【事例あり】DXを実現するデジタル技術とは? 7つの技術と活用事例
(画像=TKM/stock.adobe.com)

生産年齢人口の減少に加え、AI、IoT、第5世代移動通信方式(5G)などテクノロジーの発展、新型コロナウイルスの影響など2020年以降、 DX(デジタルトランスフォーメーション)の実現は企業にとって最大の関心事となっています。

しかし、一口にDXと言っても、技術や用途はさまざま。DXの実現を目指す企業は業務内容や目的などを踏まえて検討し、自社に適したテクノロジーを導入することが不可欠です。今回はDXにおける7つの代表的な技術と活用事例を紹介します。

目次

  1. DXを実現するデジタル技術とは
  2. 各技術を用いた7つのDX(デジタル・トランスフォーメーション)具体事例
  3. 各技術を用いたDX(デジタルトランスフォーメーション)事例
  4. デジタル技術を活用するメリットおよびデメリットとその対策
  5. まとめ:DX(デジタルトランスフォーメーション)の実現で“社内革命”を

DXを実現するデジタル技術とは

最初に、DXとデジタル技術、それぞれの定義と関連について解説します。

DXとは

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、企業や組織がデジタル技術を活用して業務プロセスや顧客体験を変革することを指します。これには、クラウドコンピューティング・ビッグデータ分析・人工知能・IoTなどの先端技術(デジタル技術)を活用することが含まれます。

DXの目的は、より効率的な業務運営、顧客満足度の向上、新たなビジネスモデルの創出などです。企業はDXを取り入れることで競争力を高め、市場の変化に迅速に対応する柔軟性を持つことができます。従来の価値観を超える先進性とスピード感を実現できるDXは、現代のビジネスにおいて重要な概念であり、組織の成長と繁栄に不可欠といえるでしょう。

DXを実現するデジタル技術とは

このDXを実現するために活用される「デジタル技術」は多岐にわたります。

例えばIoT(Internet of Things=モノのインターネット)は、センサーやデバイスをインターネットに接続し、リアルタイムのデータ収集や制御を可能にします。ビッグデータ分析は、大量のデータからパターンやトレンドを抽出することで企業運営の意思決定や予測に活用できます。人工知能(AI)は、機械学習や自然言語処理などを用いて自動化や予測、自己学習を行うシステムを実現するものです。詳しくは次章で紹介します。

その他、ブロックチェーン技術や仮想現実(VR)、拡張現実(AR)などもDXを推進する要素となります。これらのデジタル技術を組み合わせて活用することで、企業や組織は直面しているさまざまな課題を解決できるとされています。

各技術を用いた7つのDX(デジタル・トランスフォーメーション)具体事例

DX の技術(デジタル技術)として代表的なものは、「IoT」「ビッグデータ」「AI」「ICT」「RPA」「クラウド」「XR」の7つです。それぞれの機能の違いや定義については認識が曖昧な方も少なくないでしょう。例えば、「IT、IoT、ICT」や「AIとRPA」は 、特に混同されやすい傾向にあります。各技術を最大限に活かすには、それぞれの特徴や違いを押さえたうえで、具体的な活用方法や発展の可能性を検証することが重要です。ここではこの7つのデジタル技術について、わかりやすく解説します。

技術1:IoT(Internet of Things=モノのインターネット)

IoTのイメージ

IoTは”Internet of Things”の略称であり、直訳すると「モノのインターネット」となります。家電など日常生活で使用するモノにセンサーを装着することで、ネットワークを通じてさまざまな情報が得られる技術はその一例です。

IoTは「モノ」「センサー」「ネットワーク」「アプリケーション」の4つの要素で構成されており、センサーが感知した情報をデータ化し、ネットワークを介してアプリケーションへ送信されます。アプリケーションではデータの抽出や分析、最適化が行われ、これまで抽象的だったモノの使用状況や頻度などを数値によって可視化できます。

関連記事:製造業におけるIoT活用とは?コストや人材の課題とスマート化の展望

技術2:ビッグデータ

ビッグデータとは、従来の管理システムでは記録、保管、解析が難しかった巨大なデータ群を指します。ビッグデータは「データの量(Volume)」「データの多様性(Variety)」「データの速度(発生頻度・更新頻度)(Velocity)」「データの正確性(Veracity)」の4つのVで構成されています。

ビッグデータの大部分を占めているのはさまざまな種類や形式を含む非構造化データ・非定型的データです。これらをリアルタイムに高速で処理することで、これまでになかったビジネス視点での洞察や仕組み・システムの開発を可能にします。

技術3:AI(Artificial Intelligence - 人工知能)

AIは「Artificial Intelligence」の略であり、「人工知能」を意味します。

AIは人間の誘導なく作業タスクをこなす「自律性(Autonomy)」と、自らの経験から学んでパフォーマンスを向上させる「適応性(Adaptivity)」が大きな特徴です。AIは主に「認識系のAI」「予測系のAI」「実行系のAI」の3つに大別され、さまざまな業界や用途ですでに活用されています。

認識系のAI・画像判別
・仕分け
・検索
・音声判断
予測系のAI・数値予測
・ニーズ・意図予測
・マッチング
実行系のAI・表現の生成
・デザインの設計
・行動の最適化
・作業の自動化

関連記事:製造業へAI導入のメリットと活用事例|失敗しないコツも

技術4:ICT(Information and Communication Technology – 情報通信技術)

ICTは「Information and Communication Technology」の略称で、その名の通りコミュニケーションを主体とした情報通信技術を指します。すでに各家庭や企業などで活用されているメールやチャット、SNS、スマートスピーカーなどが最たる例です。情報伝達とコミュニケーションの深度を高めることで、生活を豊かにすることはもちろん、業務や教育の効率化も可能にします。

ICTはITやIoTとよく混合されますが、ITは情報技術そのもの、IoTはモノとインターネットをつなぐ技術であることを押さえておきましょう。

技術5:RPA(Robotic Process Automation - ロボットによる業務自動化)

RPAは「Robotic Process Automation」の略称です。RPAツールと呼ばれるソフトウェアを使用してルーチンワーク的な業務プロセスを自動化する技術です。これまで人間が行ってきた繰り返しの作業やデータ処理を自動化することで、効率化と品質向上を実現します。これはホワイトカラー業務をソフトウェアロボットが代行する取り組みであり、Digital Labor(仮想知的労働者)と呼ばれるケースもあります。

RPAを利用した業務は、3段階のクラスに分かれており、上位ほど複雑な業務への対応が可能です。

クラス1(RPA:Robotic Process Automation):定型業務・単純作業
クラス2(EPA:Enhanced Process Automation):データの収集・分析
クラス3(CA:Cognitive Automation):プロセスの分析・改善、意思決定、ディープラーニングなど

クラス3ではAIのような自律的判断が備わりますが、あくまでも人間が指示を出す形になります。学習能力があるAIとの違いは、「適応性(Adaptivity)」 の有無と言えます。

関連記事:活用事例から見たRPAの今後の進化

技術6:クラウド(クラウド・コンピューティング)

クラウドは「クラウド・コンピューティング」の略称であり、インターネットなどのネットワークを通じてサーバーやストレージ、ソフトウェアなどを利用する技術です。クラウド・コンピューティングはインターネットを通じてデータやアプリケーションをリモート環境から利活用でき、スケーラビリティ(柔軟性やシステムの拡張可能性)を実現します。

従来は手元のPCやサーバー内にインストールされたソフトウェアを利用することしかできませんでしたが、クラウドが登場したことでインターネット環境さえあれば自由にソフトウェアを利用したり、データを共有したりできるようになりました。今ではあらゆるサービスがクラウドで提供されており、企業のシステムもクラウド上に構築することが増えています。

技術7:XR

XRとは、「cross reality (クロスリアリティ)」または「extended reality (エクステンデッドリアリティ)」、「X reality (エックスリアリティ)」の略称とされます。現実世界にはないものを表現したり、体験したりできる技術の総称です。XRの「X」はさまざまな技術を表す変数を意味しており、現在は次の4種類がXRに含まれています。

仮想現実(VR:Virtual Reality):仮想世界を現実のように体験する技術
拡張現実(AR:Augmented Reality):現実世界に仮想世界を重ね合わせて見せる技術
複合現実(MR:Mixed Reality):現実世界と仮想世界を融合させて新たな空間を映し出す技術
代替現実(SR:Substitutional Reality):過去の映像を現在見えている映像に重ね合わせてあたかも今起こっているかのように見せる技術

XRは主にゲームやエンターテインメントの領域で発達してきた技術ですが、昨今ではバーチャル会議やシミュレーション、遠隔指導といったビジネスの領域でも幅広く活用されるようになっています。

無料eBook

  • 製造業DXの教科書
    図版と事例でわかる|製造業DXの教科書

    世界市場での競争の激化や労働人口の減少などが進む今、日本の製造業においてDX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進は不可欠です。 このeBookでは、製造業のDXの全体像について詳しく解説します。 DXに必要な技術を製造プロセスごとに紹介するほか、具体的な活用事例、製造業DXの今後の展望まで幅広く理解できる内容になっています。


各技術を用いたDX(デジタルトランスフォーメーション)事例

前述したDXの技術は、すでにさまざまな分野で活用・応用されています。今後は大多数の企業においてテクノロジーの導入が加速化すると予想されるため、自社での活用イメージを具体的に持つことが重要です。以下では各技術の導入事例を紹介します。

【事例1】農林水産省:スマート農業がIoT 活用で超省力化と高品質生産を実現

日本の農業は現在、従事者の高齢化や後継者不足、過酷な労働環境など多くの課題を抱えています。その打開策として日本政府も注目しているのが、ロボット技術やIoTなどの先端技術を活用した「スマート農業」です。

低消費電力で遠距離通信ができるLPWA や超高速通信技術などを農業に活用するなど、DXの推進によって超省力化や高品質生産を実現し、労働環境や収益性の改善に一役買っています。また、最新のIoT技術では24時間365日のデータ計測や収穫量の予測、病害発生リスクの算出なども可能なため、イノベーション領域の1つとして急速に注目を集めています。

(参考)農林水産省:スマート農業

【事例2】富士通:データ駆動(データドリブン)ビジネスでビッグデータの蓄積と活用をサポート

スマートフォンやIoTデバイスが浸透している現代では、ビッグデータの最適な活用がビジネスの成否を左右します。データの整理や分析をいかに簡潔に、かつ低価格で行えるかが成果の鍵です。そんな中、競合と差をつける意味でも注目されているのが「データ駆動ビジネス」。データ駆動(データドリブン)とは、効果測定などで得られたデータをもとに次のアクションを起こすことを指します。

富士通では「データ駆動ビジネス」を促進する製品として、データ利活用基盤「ODMA(Operational Data Management & Analytics) 」を展開しています。導入した食品メーカーでは「どの店舗で」「どれだけの数量が売れたか」という製品販売状況はもちろん、気候や統計などの外部データとも合わせて蓄積。店舗実績に加え、暑い日や寒い日の売上変動も加味して「価値あるデータ」を見出し、その後の販売戦略や経営戦略への活用までサポートできます。

【事例3】Jリーグ横浜 F・マリノス :AIによる全席種チケット価格変動制(ダイナミックプライシング)を実施

サッカーJリーグの横浜F・マリノスでは、2018年から全席種において「ダイナミックプライシング」を実施しています。ダイナミックプライシングとは、需要や市況、天候、個人の嗜好などに関するビッグデータを踏まえて、AIが試合チケットの適正価格を算出する価格変動型のシステムです。座席によって料金設定がなされていた従来の仕組みと比較すると、非常に革新的だと言えます。

例えば、天候が悪い日や注目度の低い試合の場合はチケット価格を下げ、観客動員数の増加を図ってくれます。反対に不正な高額転売が行われそうな人気カードの場合はあらかじめ価格が高めに設定されるなど、AIが状況を鑑みて算出してくれる点が強みです。

一方でこのシステムは、人気カードが必要以上に高額になったり、当日券よりも前売り券の方が高くなったりするなど「ユーザーファースト」とかけ離れてしまうリスクもあり、課題も内包しています。

【事例4】NTT西日本:熱中症対策×ICT

NTT西日本では、ICTを活用した熱中症対策の可能性を模索しています。2019年に行われたトライアルでは、大阪府吹田市にある中学校のグラウンドと体育館で温度や湿度、日差しの強さを計測し、熱中症の危険度を示す「暑さ指数(WBGT)」を算出しました。まず、設置した計測センサーで該当項目を6分ごとに計測し、そのデータをクラウドサーバへ蓄積。その後、暑さ指数を5段階で表示し、タブレットなどで熱中症危険度を可視化できるようにしました。

この取り組みの最大の特徴は、単に暑さ指数を計測するだけでなく、現場にいる子どもたちや監督責任がある教員たちにいち早く状況を伝えられる点です。グラウンドと体育館に設置したパトランプの色で暑さの度合いを視認できるようにしたり、運動中止の目安となるレベル5の場合はアラーム音で警告したりするなどの情報発信が肝となっています。それにより、タイムリーな判断や対処が可能となります。

【事例5】楽天損保:RPA導入で作業時間短縮を実現

万が一の場合の事故や病気の補償のために加入する保険は、エビデンスが非常に重要であり、契約申込書や承認請求書といった大量の紙データが存在します。そうした膨大の書類を適切に処理するのは煩雑であり、多くの手間や時間、コストを費やす結果となっていました。少子高齢化に伴う労働人口の減少や働き方改革の影響もあり、近年ではRPAを導入する保険会社が増えています。

楽天損保では2018年にRPAを導入し、紙データの引継ぎ作業の自動化に成功しました。導入にあたっては、社内のあらゆる方面から人材を集め、全社的な取り組みとして勉強会を積極的に開催。業務自動化を推進するという社内の意識も高まり、結果として半年で7,259時間という膨大な作業時間の短縮を実現しました。

【事例6】浜松市:クラウドでデジタルスマートシティ浜松の推進を支える

静岡県浜松市は2019年10月にデジタルファースト宣言を行い、オープンデータやデジタル技術の活用によって地域のコミュニティや産業の活性化を目指すデジタル・スマートシティの実現に向けた取り組みを進めています。

例えば、行政の各分野や民間が個別に収集・保有しているデータを円滑に連携させ、データの横断的な利用とサービス間の連携を支える“都市 OS(データ連携基盤)”をクラウド上に構築。官民が連携して取り組めるようにオープンなデータ基盤を作りながら、地域課題の解決や産業の活性化、市民のよりよい暮らしの実現を目指しています。

(参考)浜松市:デジタル・スマートシティの推進

【事例7】日本の製造業:製造現場をサポートするXR技術

日本の製造業は現在、人手不足や技能継承といったさまざまな課題を抱えています。それらを解決するのに役立つと期待されているのが、ARやVRといったXR技術です。

例えば、ARは製造現場における作業支援ツールとして活用されています。製造現場の作業者と遠隔地にいる支援者が映像と音声を共有し、リアルタイムに作業の指示・サポートを行うというものです。この技術を活用すれば、熟練の作業者がわざわざ現場に行く必要がなくなり、現場作業者の作業効率を高められます。

また、VRは作業者のトレーニングツールとして活用されています。製造現場を仮想空間上に再現し、その中で作業の練習を行うことで、複雑な作業にも事前に慣れておくことができます。また、熟練者の動きを仮想空間上に表示して確認できるので、熟練者の技能を若手人材などに継承するのにも役立ちます。

デジタル技術を活用するメリットおよびデメリットとその対策

DX実現のために必要なデジタル技術。あらためて、デジタル技術を活用することのメリットとデメリット、またデメリットに対する対策を確認しておきましょう。

デジタル技術を活用して得られる3つのメリット

【メリット1】生産性の向上
デジタル技術は業務プロセスの自動化や効率化を可能にします。例えば、クラウド・コンピューティングを利用することで、従来の物理的なサーバーに依存せず、ネット環境さえあれば自由に必要なコンピューティングリソースを迅速に、かつ柔軟に利用できます。これにより、業務の拡大や変化に対応できるようになります。

【メリット2】データ活用による戦略性の向上:
ビッグデータによる分析や人工知能の導入など、デジタル技術を活用することで膨大なデータから価値ある情報を抽出し、データのパターンやトレンドを分析することで、市場動向や顧客のニーズを理解し戦略的な判断を行うことができます。

【メリット3】顧客体験の向上が競争力の強化となり、企業のブランディングへ寄与できる
デジタル技術によって顧客との接点を強化し、優れた顧客体験を提供することができます。

例えば、カスタマーサービス担当が人的リソースだけならば、休憩時間を取らなければなりませんし、勤務時間も法律によって制限されます。しかしデジタル技術によるAIチャットボットなどを導入することで、顧客にモバイルアプリやウェブサイトを通じて24時間、いつでもサービスにアクセスできる環境を提供することができます。また、AIや機械学習を活用したパーソナライズされたサービスや推奨システムにより、顧客の要求に合わせた体験を提供することも可能です。

これらのメリットにより、企業や組織の競争力は向上するでしょう。また効率化、イノベーションの促進などを実現することができ、ひいては企業ブランディングの確立にも役立つでしょう。

デジタル技術を活用する3つのデメリットと対策

デジタル技術を活用する際には、以下のようなデメリットも考慮する必要があります。

【デメリット1】セキュリティリスクの増大
デジタル技術の活用にはセキュリティ上のリスクが伴います。ネットワークへの不正アクセスやデータの漏洩、サイバー攻撃などの脅威などがこれにあたります。

【セキュリティへの対策】
セキュリティリスクを低減するためには、セキュリティへの対策強化が必須です。ツールの利用やセキュリティシステムの導入はもちろんですが、社員へのIT教育でリスクに対する見識を養い、セキュリティポリシーの策定などの措置を講じることが重要です。

【デメリット2】既存システムとの連携や互換性が上手くいかないことがある
デジタル技術は急速に進歩しています。そのため、これまで使ってきた既存システムと、新規に導入したシステムとの整合性や互換性の問題が発生することがあります。またこのことにより、これまで使っていたやり方でいいのではないかという風潮が社員間に起きてしまい、結局導入に失敗してしまうケースもあり得ます。

【システム連携の対策】
既存システムやツールと新規に導入するデジタル技術をうまく連携するためには、適切な技術選定とアーキテクチャの柔軟性を確保することが重要です。データファブリックによりあらゆるデータを仮想化し、新しいシステムに乗せ換えることなくデータを利活用できる仕組みもあるため、必要に応じて取り入れていくとよいでしょう。

また、将来の技術の変化に対応するために、アップグレードの計画をあらかじめ立てておくことも必要です。

【デメリット3】社員に対する技術スキルの向上および教育の必要性
デジタル技術の導入には、組織内でのスキルや知識の不足が課題となる場合があります。導入を円滑に進めるためには、社員に対する新たな技術やツールの習得、適切なトレーニングや教育プログラムの提供が必要です。

【人材育成の対策】
従業員の教育に積極的に取り組むことはもちろん重要ですが、全員に同じレベルの専門的なITスキルは、少なくとも初期には必要ありません。まずはデジタル技術の専任となる担当者チームを育成するとよいでしょう。その他、専門知識の獲得のために、外部の専門家との協力も検討する価値があります。

ほか、当然ですが、システム導入によるコストは発生します。導入を検討する場合は、定額制なのか、人数や使用する数により加算されるのかなどを確認する必要があります。

スムーズなデジタル技術の導入と定着、システムの継続的な監視や改善のために、外部企業や専門家とのパートナーシップの構築なども重要な手段となるでしょう。

(参考)
経済産業省:デジタル技術を活用するメリット(PDF)
日本政策金融公庫 総合研究所:中小企業に求められるサイバーセキュリティ対策の強化(PDF)

まとめ:DX(デジタルトランスフォーメーション)の実現で“社内革命”を

上記のように、DXは今や“現実的な技術革新”であるという認識を持たなければならないでしょう。今後、「お客様ファースト」や生産性向上、業務効率化を目指す各企業がDXに一層注力するであろうことは、容易に想像できます。

しかし実際に自社への導入を検討した際に、ビジネスモデルの変革や新しいデジタル技術への対応は一朝一夕に行えるものではありません。将来的にDXの実現によって業務改善や業績アップを狙うのであれば、自社に必要な技術の選定や導入方法、抱えている事業課題なども含め、まずは専門家に相談することをおすすめします。

【事例あり】DXを実現するデジタル技術とは? 7つの技術と活用事例

【こんな記事も読まれています】
【会員限定動画】サプライウェブで実現するマスカスタマイゼーション時代の企業戦略
製造業における購買・調達業務とは?課題の解決方法も紹介
ビジネスや技術のトレンドに反応しながら進化を続けるCRMの事例を紹介