SalesforceのAPI連携11種を解説!主要ツールとの連携も解説
(画像=AkiraKaelyn/stock.adobe.com)

Salesforceで顧客情報や顧客との関係性を管理する際に、他のツールと連携することでより効果を得られる場合があります。外部ツールとの連携をするときに重要となるのが、SalesforceのAPIです。

本記事ではAPIの基礎知識から、Salesforceで利用できるAPIを11種類紹介します。主要ツールとの連携についても解説するので最後まで読み進めてください。

目次

  1. APIとは?
  2. Salesforce APIの11つの種類と特徴を解説!
  3. SalesforceとAPI連携できる代表的なツール
  4. Salesforceの連携ツールを導入する際の注意点
  5. まとめ:SalesforceのAPIは11種類!適切なAPIを選んでカスタマイズしよう

APIとは?

APIは、Application Programming Interfaceの頭文字をとったもので、ソフトウェアやプログラム、Webサービスとの間をつなぐインターフェースのことです。

異なるアプリやシステムが連携する際、互いの機能やデータを直接共有するのではなく、APIを介して指示を送ったり情報を取得したりします。APIは、どのようにリクエストやレスポンスを構築すればよいかを定めたルールやコードの集まりであり、開発者が他のソフトウェアを利用しやすくする役割を果たしています。

ユーザーがサービスを利用するときには、APIの存在を意識することはほとんどありません。しかし、実際には多くの場面でAPIは利用されています。

APIの具体的な活用例としては、「Google MapsのAPIを利用してWebサイトに最新のマップを表示」「マップを活用した新しいアプリを開発」「アプリからの数値データを取り込み」「地図アプリが外部の天気情報を取得する際に、その天気情報提供元のAPIを利用してデータを取得する」などが挙げられます。このように、APIによって、異なるアプリやサービスがシームレスに連携し、新たな機能やサービスを構築することが可能となります。

APIを利用するメリット

APIを利用するメリット

API連携のメリットとして、次の4つが挙げられます。

  • 開発プロセスの効率化・迅速化
  • 開発にかかるコスト(時間・費用・人的資源)の削減
  • メンテナンスにかかる費用と手間の削減・最新情報の取得が容易になる
  • セキュリティの向上
  • 顧客満足度の向上

一つずつ解説します。

開発プロセスの効率化・迅速化

APIを利用することで、サービスを一から開発する必要がなくなるので、開発プロセスの効率化・迅速化を期待できます。例えば、銀行の残高を取得して家計簿を作る時などに、銀行の残高取得についてAPIを通じて行えば、他の開発に時間を割く事ができます。また、APIを活用して既存のアプリケーションを拡張・カスタマイズすることもできます。

開発の効率が向上することで、開発した製品の素早い市場投入も可能となります。

開発にかかるコスト(時間・費用・人的資源)の削減

Webアプリケーションの開発には、完成まで費用と時間がかかります。サービスをリリースした後も、バグやエラーが出たときには追加の対応が必要です。このコストは、Webアプリケーションが複雑になればなるほどコストが高くなります。

しかし、APIを利用すれば、自社で開発する必要がないのでバグやエラーなどの対応からも解放されます。また必要な機能やデータを外部から提供できるため、全てを自社で開発する必要がなくなり、結果的に開発にかかる時間や費用を削減する事ができるのです。

他に、IT人材を確保できない場合にも、APIの活用は役立ちます。重点的に開発すべき核心部分に人材を投入できるため、新たにITに詳しい人材を雇い入れる手間や工数がかかりません。また少ない人数でも、短納期に開発を完了させることが可能です。

さらに、APIの活用によって自社で保持すべきデータ量が減るため、これもコスト削減につながります。例えばサーバの購入金額、クラウド使用料金などが削減できるでしょう。

メンテナンスにかかる費用と手間の削減・最新情報の取得が容易になる

データを自社サーバで保管する場合は、継続したメンテナンス(更新等)を行わなければなりませんが、APIを活用することでこのメンテナンスが削減できます。

またAPIを通して各サービス等の最新情報を取得できるため、情報の確認や更新の手間が省け、作業がスピードアップします。

セキュリティの向上

APIを使用することで、外部からのアクセスを制御し、必要な権限を持つユーザーだけがデータにアクセスできるように設定できます。これにより、データの漏洩や不正アクセスを防ぐセキュリティ対策が強化されます。

またAPIを通じてデータや機能を共有することで、セキュリティ面の安全性を担保することが可能です。例えば自社の開発したWebアプリケーションに会員登録やログイン機能を開発しようと考えたとき、FacebookやTwitterなどのSNS認証を利用すれば、セキュリティ面において安心です。このような既存のセキュリティレベルが高いシステムを利用することで、セキュリティを堅牢にでき、結果的にユーザ満足度も向上するでしょう。

顧客満足度の向上

APIを利用して開発した結果、開発効率の向上や、開発コストの削減などの効果を得る事ができます。

異なるサービスや機能を組み合わせて提供することで、顧客にとって便益のあるアプリケーションを提供することができます。顧客は、シームレスな体験を通じて、必要な情報や機能を容易に利用できます。さらに顧客のニーズに合わせたカスタマイズが容易であることから、競争力のあるサービスを提供できます。

その結果、様々なサービスを安価でユーザに提供する事ができるようになり、顧客満足度も向上するでしょう。

無料eBook

  • 製造業DXの教科書
    図版と事例でわかる|製造業DXの教科書

    世界市場での競争の激化や労働人口の減少などが進む今、日本の製造業においてDX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進は不可欠です。 このeBookでは、製造業のDXの全体像について詳しく解説します。 DXに必要な技術を製造プロセスごとに紹介するほか、具体的な活用事例、製造業DXの今後の展望まで幅広く理解できる内容になっています。


Salesforce APIの11つの種類と特徴を解説!

Salesforce APIの11つの種類と特徴を解説!
(画像=batjaket/stock.adobe.com)

ここではSalesforceのAPIについて解説します。SalesforceのAPIは以下の11種類あります。

  • (1) SOAP API
  • (2) REST API
  • (3) Bulk API
  • (4) Metadata API
  • (5) Streaming API
  • (6) Apex SOAP API
  • (7) Apex REST API
  • (8) Chatter API
  • (9) Tooling API
  • (10) ユーザインターフェース API
  • (11) Analytics REST API

一つずつ解説します。

(1) SOAP API

SOAP APIは、Simple Object Access Protocolの略称です。マイクロソフト社が考案して開発されたアクセスプロトコルで、Salesforceが提供するAPIの中でも、標準型のAPIとなります。

XML言語を利用してメッセージを提供する特徴があり、次のようなリクエストが装備されています。

  • WS-Addressing:Webサービスのアドレッシング(演算対象の指定)
  • WS-Policy:Webサービスのセキュリティポリシーと相互運用性を標準化
  • WS-Security:通信プロトコルの1つでWebサービスのセキュリティ適用手段
  • WS-Federation:ユーザIDを保存及び検証から、Webサービスへ連携するプロトコル
  • WS-ReliableMessaging:2つのエンドポイント間で相互運用する信頼性の高いメッセージ送信
  • WS-Coordination:分散アプリケーションの動作を調整するプロトコル
  • WS-AtomicTransaction:相互運用可能な複数処理をまとめたプロトコル

(2) REST API

REST APIは、RESTful APIとも呼ばれるAPIです。

連携処理にURLが対応づかない特徴を持っているので、アプリケーション内部のリソースをURLで示す事ができます。その結果、操作しようとしているリソースを判断する事が可能となっています。

(3) Bulk API

Bulk APIは、SOAP APIやREST APIと違い、非同期で処理できるAPIで、1000件〜100万件単位のレコードを処理する事ができます。Salesforceではデータローダで利用可能です。

Bulk API 2.0からは、次のプログラムが組み込まれるようになりました。

  • 2,000件以上のデータセットを非同期でアップロード
  • 2,000件以上のデータセットを非同期で照会
  • 2,000件以上のデータセットを非同期で削除

(4) Metadata API

Metadata APIはSalesforceのメタデータを記述するためのAPIです。

記述可能なAPIは次の通りです。

  • スキーマ
  • プロセス
  • プレゼンテーション
  • 認証
  • 全般設定

(5) Streaming API

Streaming APIは、サーバからクライアントPCに向けてデータ更新を通知するためのAPIになります。しかし、通知の保証が確立されているわけではないので、コアデータ以外の連携で使用されるのが一般的です。

通知可能なイベントは、レコードの作成、レコードの更新、レコードの削除、レコードの復元となります。

(6) Apex SOAP API

Apex SOAP APIはApexクラスメソッドで公開されるSOAP APIです。Apex言語はSalesforce内で利用されるプログラミング言語で、Salesforceの拡張に利用されます。GUI以外で開発するときに利用されるAPIです。

(7)  Apex REST API

Apex REST APIは、Apexメソッドで公開されるREST APIの拡張機能です。Apex REST APIは、Apexクラス単位による実装となるので、ユーザーやプロファイルを指定した権限セットの作成も可能です。

(8) Chatter API

Chatter APIは、Salesforceのコミュニケーション機能であるChatterへアクセスを実行するAPIのことです。

Chatter APIで連携できるのは次の項目です。

  • Chatterフィード
  • ユーザ
  • グループ
  • フォロワー
  • ファイル

また、Chatter APIの統合対象は、次のとおりです。

  • モバイルアプリケーション
  • イントラネットサイト
  • サードパーティWebアプリケーション

使用時の注意点として、Chatterを有効化しておく必要があります。

(9) Tooling API

Tooling APIは、Salesforceアプリケーション用のカスタム開発ツールを作成するための開発者向けのAPIです。

ApexCodeの内容を取得して、SOALやRESTでアクセスする事ができます。

(10) ユーザインターフェース API

ユーザインターフェース APIは、カスタムSalesforceアプリケーションのユーザインターフェース作成APIのことです。ユーザや顧客のSalesforceの操作性を高めるために利用されます。

(11) Analytics REST API

Analytics REST APIは、Salesforceの解析機能とプログラミングを繋ぐAPIのことです。データセットのバージョン管理や、ダッシュボードの作成など分析に必要なことを実行する事ができます。

SalesforceとAPI連携できる代表的なツール

ここでは、SalesforceとAPI連携できる代表的なツールをご紹介します。

サービス名概要
MarketoAdobe社が提供しているMAツールです。Pardotよりも多機能なソリューションがあります。
twillioSalesforce Service Cloud で chat bot 等を提供する機能はありますが、それらを補完するような導入方法となることが多いサービスです。
Magic Moment PlaybookSalesforce のコア領域である CRM をさらに進化させた仕組みを提供しているSaaSです。
Gainsight「カスタマーサクセス」をテーマに活動を続け、現在は同ジャンルで世界トップシェアを誇るサービスです。

Salesforceの連携ツールを導入する際の注意点

Salesforceの連携ツールを導入する際の注意点

Salesforceの連携ツールを導入するときの注意点について解説します。気をつけたいのは次の3点です。

  • 既存システムの老朽化
  • 部門間のツール連携が非効率
  • 現場でツール利用が定着化しない

具体的に解説します。

【注意点1】既存システムの老朽化

連携ツールを導入する際には、既存のシステムが老朽化していないかを注意深く評価する必要があります。老朽化した自社システムに合わせて過度なカスタマイズを行うと、リプレースできないシステムとなってしまうおそれもあります。自社に合わせてカスタマイズするのではなく、利用するツールに合わせた設計を行いましょう。

また古いシステムと新たなツールを統合する際は、互換性の問題やデータの整合性の懸念が生じます。システムのアップグレードやデータの移行計画を検討し、円滑な移行を実現することが重要です。また、既存システムの代替案も検討し、必要に応じて更新や置き換えも検討する必要があります。

【注意点2】部門間のツール連携が非効率

部署ごとに異なるツールを導入しているときに起こりがちな問題です。

連携ツールは、異なる部門間での情報共有と協力を向上させるための重要な役割を果たします。しかし、適切な計画なしに導入すると、部門間の連携が逆に混乱を招く可能性があります。導入前に各部門のニーズを理解し、プロセスを詳細に設計することで、効果的な情報共有とタスクの円滑な遂行を実現できます。全社で一気通貫して管理するためにも、できるだけ同じツールを利用するようにしましょう。

また社員に対する適切なトレーニングやサポートも提供し、ツールの活用を促進するとよいでしょう。

【注意点3】現場でツール利用が定着化しない

Salesforceの連携ツールを導入するときに限った話ではないですが、新しいシステムやツールを導入した後に定着化しない可能性もあります。これは、新しいツールの操作や利点の認識不足、変更への抵抗などが原因となっていることが考えられます。

この問題を回避するには、従業員への定期的なITに関するトレーニングや情報提供、実際に使用してみてのフィードバックを通じて、新しいシステムやツールを利用することの意義について理解を深め、ツールの価値を示すことが重要です。ユーザの参加度合いを上げ、研修内容への満足度向上に焦点を当て、成功するための取り組みを継続的に行いましょう。

ツールによっては、カスタマーサクセス部門が丁寧にサポートしてくれるケースもあるので、これらのサポートが充実しており社内で定着化が進みそうなツールを選ぶようにしましょう。

まとめ:SalesforceのAPIは11種類!適切なAPIを選んでカスタマイズしよう

本記事では、SalesforceのAPIを11種類解説しましたSalesforceで利用できるAPIは次の通りです。

  • SOAP API
  • REST API
  • Bulk API
  • Metadata API
  • Streaming API
  • Apex SOAP API
  • Apex REST API
  • Chatter API
  • Tooling API
  • ユーザインターフェース API
  • Analytics REST API

もし、Salesforce開発やカスタマイズで課題を抱えているなら、システムを”導入”するだけでなく、売上/利益向上・業務効率化といったシステム導入の目的を実現するという目線を常に忘れないようにしましょう。

【こんな記事も読まれています】
【会員限定動画】サプライウェブで実現するマスカスタマイゼーション時代の企業戦略
製造業における購買・調達業務とは?課題の解決方法も紹介
ビジネスや技術のトレンドに反応しながら進化を続けるCRMの事例を紹介