業務効率化を目的としたツール選定で押さえるべき3つのポイント
(画像=tiquitaca/stock.adobe.com)

我が国は少子高齢化の進展と生産年齢人口の減少という社会問題に直面しており、その影響から今後は労働力不足が深刻化すると予想されています。つまり現在は業績が好調でさらなる事業拡大を目指していたとしても、国内企業の多くが将来的に労働力を確保することが困難になっていくということです。

仮に労働力が減ったとしても現状と同等あるいはそれ以上のアウトプットを生み出せるように業務効率化を図り、一人ひとりの労働生産性を高めていくことがあらゆる企業にとって喫緊の課題と言えるでしょう。

実際に様々なツールを導入して業務効率化を目指す企業が増えつつあります。

本コラムではまずツールがどのような形で業務効率化に貢献するのかを確認します。そのうえで、実際にツールを選定する際に押さえるべきポイントを解説します。

目次

  1. 様々なツールは業務効率化にどのように貢献するのか?
  2. 業務効率化に向けて実際にツールを選定する際に押さえるべきポイントとは?
  3. 業務効率化に向けて自社に最適化したツールを開発するのも選択肢の1つ

様々なツールは業務効率化にどのように貢献するのか?

今日のビジネスシーンでは会計ツールやテレビ会議/ウェブ会議ツールなど様々なツールが利用されています。これらのツールは次のような面で業務効率化に貢献します。

業務そのものの自動化・効率化

ある業務に特化したツールは、業務そのものの自動化・効率化に貢献します。

たとえば会計ツールを導入すれば、日々の取引情報の入力作業はもちろん、決算期における損益計算書や貸借対照表などの作成業務を一部自動化できます。したがって、紙台帳や表計算ソフトを用いている場合よりも大幅に業務を効率化できるでしょう。

コミュニケーションの効率化

各種ツールは、業務に付随する社内外のコミュニケーションを簡素化することで業務効率化に貢献する場合もあります。

テレビ会議/ウェブ会議ツールはその典型例と言えるでしょう。テレビ会議/ウェブ会議ツールを導入すれば、社内会議や商談をリモートで実施できるようになります。そのため、会議や商談に伴う移動時間を短縮することができます。

また、テレビ会議/ウェブ会議ツールは「他拠点にいる」「在宅勤務している」といった理由からメールでのやり取りが中心となっている相手との新たなコミュニケーション手段になります。メールによるやり取りは、宛先・件名の確認や挨拶文の作成など何かと手間がかかります。テレビ会議/ウェブ会議ツールを導入してメールでのやり取りを減らすことができればコミュニケーションを大きく効率化できるでしょう。

情報共有の活性化

業務上の様々な情報の共有を活性化することができるツールも業務効率化に貢献します。

一例として、最近ではクラウド型のファイル共有ツールを利用している企業も少なくありません。このようなツールを利用すれば、外出先や自宅から様々なファイルを閲覧したり、アップロードできるようになります。例としてクラウド上に各営業担当者が作成した提案書や見積書をアップロードし、必要に応じて転用可能にしておくことで、資料作成業務を大幅に効率化できるでしょう。

様々なツールは多くの場面で業務効率化に貢献します。一方で、今日では業務利用を目的とした非常に多くのツールが存在しており、それらのなかから最適なものを選定するには、次項に挙げたポイントを押さえることが重要です。

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業務効率化に向けて実際にツールを選定する際に押さえるべきポイントとは?

その1:該当業務の担当者がストレスなく利用できるか?

業務効率化を目的とする以上、そのツールの導入によってかえって業務効率が低下してしまっては本末転倒です。しかし、残念ながら「該当業務担当者のITリテラシーが不足しているために活用しきれていない」という話もよく聞くところです。当然、このような状況ではツール導入による業務効率化も限定的なものになってしまうでしょう。あるいは、不慣れなツールを利用しようとしたことで逆に業務効率が低下してしまう可能性すらあります。

そのため、そのツールを担当者がストレスなく利用できるかどうかが重要な選定ポイントになります。選定段階から該当業務の担当者に関わってもらい、候補となっているツールをトライアルしてもらったり、要件定義の段階において要件の洗い出しに協力してもらったりするとよいでしょう。

その2:外部ツールとスムーズに連携できるか?

今日、各種ツールはほかのツールと連携して利用することでさらなる業務効率化を図ることができます。給与計算ツールと勤怠管理ツールを連携させて勤務時間に応じた時間外手当を含む給与計算を自動化する、といった試みはその具体例と言えるでしょう。

外部ツールと連携することを想定している場合には、そのツールとの連携について十分に確認しておく必要があります。「#### #### と連携可能」と謳っているツールであっても、実際にはCSVでのインポート/エクスポートが必要であったり、別途API(※1)を用いて連携するための専用ツールを開発しなければならなかったりすることもあるので注意が必要です。 ※1:Application Programming Interfaceの略。

その3:セキュリティ対策は万全か?

SFA(Sales Force Automation/営業支援)ツールやCRM(Customer Relationship Management/顧客関係管理)ツールを導入した場合には、そこに顧客情報を登録していくことになります。ビジネスチャットツールを導入した場合には、社内外の関係者間で商談やプロジェクトに関する様々な情報が共有されることになるでしょう。

このように、導入したツール上では秘匿性の高い情報がやり取りされます。したがって、セキュリティ対策も見逃せない選定ポイントです。該当ツールで実装されている具体的なセキュリティ対策や開発ベンダーが取得しているセキュリティ認証などを確認しましょう。

業務効率化に向けて自社に最適化したツールを開発するのも選択肢の1つ

今回は、業務効率化を目的としたツール選定で押さえるべきポイントを解説してきました。

業務効率化を目指すうえでは新たなツールを開発するという選択肢も一考の価値があります。特に、大幅な業務効率化を目指す場合には、自社の業務に最適化したツールを開発する方が効果的です。また、まだ既存のツールが存在していない特殊な業務についても、新たにツールを開発することで業務効率化を実現できるかもしれません。

要件に応じて、ツール導入なのか、開発なのか、目的を整理して最適な選択をすることが重要です。

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