News

【建設DX】建設業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)とは ~ICT活用に留まらない業務変革によるサプライチェーンの最適化~

技術情報
2021-10-15

建設業界でもデジタルトランスフォーメーションの取組みは始まっている

デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)の必要性が叫ばれ、あらゆる産業において各企業が変革の必要性を認識し、一部の企業は変革に向けてDX実現に取り組んでいます。

建設業はこれまで3K(きつい、汚い、危険)の代表格と捉えられ、他の産業に比べて離職率が高く(※図1)、また入職者の確保に苦戦を強いられており人手不足が最も深刻化している産業です。こういった背景もあり土木インフラ工事においては2016年度に国土交通省が「i-Construction」を提唱し、現場の生産性向上を実現すべく発注者・受注者が共に取り組んできました。

「i-Construction」は3つのトップランナー施策として、

  • 「ICTの全面的な活用(ICT土工)」
  • 「全体最適の導入(コンクリート工の規格の標準化等)」
  • 「施工時期の平準化」

を打ち出し、これら施策に取り組む事で建設現場の生産性革命を起こし、ICT活用を積極的に施工管理基準に盛り込んで利活用を促し生産性を上げていくことで現場での働き方を変える。更には賃金の向上や女性も活躍し希望の持てる魅力ある産業に変えていくと言うものです。

建設業及び建設工事従事者の現状※図1 出典:国土交通省 建設業及び建設工事従事者の現状

建設業は製造業と異なり、良い製品を多く作り販売できればよいと言う業態ではありません。建設会社が収益を上げるためには、確固たる技術を有し、受注する現場数を増やし、技術を最大限活用してインフラ構造物を作り上げていく現場業務で利益を出す事が最も重要です。

そのため現場における生産性向上は建設会社として成長していくためにはかかせない取組みであり、その実践においては依然課題も残ったままです。

このように現場の生産性向上だけでも検討や取組みの強化が必要であるにも関わらず、最近では建設会社として本社・支店・現場の全職員が多様な個性や価値観・スキルを活かして働く事ができるダイバーシティを促進し、健康経営あるいは環境と社会にも配慮したESG経営と言ったよりグローバルな経営戦略を実現する組織に変わっていく必要性を各社感じています。

この根底には冒頭で述べた人手不足かつ超高齢化社会でも生き残るためには、やはり組織全体が変わらなければいけないと言う危機感の表れであり、i-Constructionに沿った現場向けの施策から一段上がってより全社的な変革を進めていく事が待ったなしの状況になっています。まさに建設業におけるDXの黎明期を迎えていると言っても過言ではありません。

ICTに代表されるこれまでの取組みはDXなのか

最近よく「建設DX」と言う言葉を目にします。前述した通り、施工現場ではICTの利活用により、施工の様々な業務の効率化が図られています。ただしここで言うICTとは建設業の場合、GNSSローバー・トータルステーション・レーザースキャナー・UAV(ドローン)・ICT建機と言った現場作業に直結する計測器や測量機、ロボット技術などを指します。

従来は測量作業にしても、重く大きな機材を二人で分担して持ち、一緒に動いて一人が測量、もう一人が記録と言うような役割で時間と人数をかけて測量業務にあたっていました。それが最新の測量機器では、一人で機材を持ち運べ、測量作業や丁張りがけも誰でも同じ精度で行える、測った測量結果もデジタルなデータとしてクラウドにアップロードされ結果を取り出すのも容易です。

これは確かに業務の効率化につながるものです。そしてこれらを提供するメーカーやITベンダーはICT機器やツールを現場で活用する事を「建設DX」と定義し、最新機器を提供して現場の施工業務の生産性を上げる、時には現場業務をデジタル活用で変える、と言う提言がなされているようです。

これは、ICTを活用し施工業務に変革をもたらすと言う点で間違っていませんが、DXと言う言葉で括るには不十分な気もします。「i-Constructionの施策の効果もあってデジタイゼーションとしての取組みがかなり浸透している」(※図2)と言うのが正しいかもしれません。

なぜなら現場は施工中の業務だけでなく、施工前の受注業務から現場を立ち上げて調査・設計業務を行い、あるいは施工完了後は発注者へインフラ構造物を引き渡すための検査業務もあります。「施工」と言うフェーズは建設会社にとって利益を生むために最も重要なフェーズではありますが、この中の特に現場作業の一部の業務だけがデジタル化され、その業務の生産性だけが上がることによる部分最適に留まっているとすれば、それを「建設DX」と言うには十分なものではありません。

トップランナー施策(ICTの全面的な活用)※図2 出典:国土交通省 i-Construction~建設現場の生産性革命~

DXの推進により業務変革からサプライチェーンの強化へ

では建設業におけるDXとは具体的に何を指すのでしょうか?それは上記のように施工業務の効率化はもちろんのこと、工程管理や協力会社との調整、計測結果のデジタルエビデンスを報告書として発注者に提示するための整理業務など、現場の中だけではない事務所内における業務のデジタル化も含まれます。

工務の作業は手作業でも仕方ない、印刷し書面に記載してまとめるのが当たり前であると言った概念を崩し、そこにもテクノロジーを駆使してデジタル化する事で業務の在り方が変わる。業務負荷や属人性が高いものを対象として変革していく、こういった事にまで踏み込むことが本当の意味での「建設DX」と言えるのではないでしょうか。

また先に触れた、最近では現場だけでなく本社や支店など、全職員の働き方も見直す業務変革の必要性が認識されています。現場の生産性向上はとても重要ですが、それを支える本社や支店の管理業務の効率化も必要不可欠です。現場業務だけが変革出来ればよいと言う事ではなく、全社的な組織風土や慣習を変えていく事で自分たちの業務を適正化し、ひいてはそれが現場業務をより効率的に支援していく事につながります。

例えば営業が行う見積もり業務や、労務・人事・財務と言った現場に関わる業務もそうです。これらの業務が既存の在り方やこれまで構築した仕組みに縛られ、依然、業務負荷が高いものだとすると、そこに着目しこれらの業務変革を実行していこうとする会社と、今までのやり方でも構わないと目をつぶる会社とでは、この先数年間で組織の競争力に相当な差が出る可能性があります。

DXは全職員に関わるあらゆる業務のサプライチェーンを見直し強化するものであり、特に建設業においては変革によって最適化された人的リソースを新技術の開発、営業力強化、現場施工の注力等に投じる事で、より収益を上げる組織体へと変えていく取組みである事が重要です。

建設DX推進の取り組み

CCTでは建設業のお客様の業務変革に取り組んでいます。これは現場作業の一部の生産性向上による業務改善ではなく、現場も含め組織・部門が一体となった変革を目指し(※図3) 、お客様毎に課題が異なる様々なテーマに対し「DX実現サービス」により変革の幹(Next Core)を見つけるコンサルティングを行っております。

※図3

取り組むテーマは様々であり、

  • 組織一体となって土木事業全体を変革していくもの
  • 現場主体でのデジタイゼーションの取組みをより底上げし、かつアナログな作業にもメスを入れていくもの
  • 全職員が関わる基幹システムの技術的負債から脱却し、業務効率化につながるよう目指す姿を明らかにしていくもの

など、お客様毎に変革テーマは多種多様です。枝葉の取組みによる部分最適ではなく、変革の幹となるものを中心に据えて、課題に向き合いながら伴走型でお客様の目指す姿を策定(具現化)していきます。

もし課題ははっきりしているがどのようにDXを進めたらよいか分からない、DXは必要だと分かっているが自社の変革テーマそのものが明確に定められない、などのお悩みがありましたら、ぜひこちらから弊社にご相談ください。

建設DX関連コンテンツ

【ユースケース】PLMによる設計-生産技術の情報共有
【ユースケース】AIによる生産準備属人性低減・省人化 ~3D設計データを活用~
【サービス】製造業・建設業のためのIoT/AIソリューション「Orizuru」
【サービス】PLM導入による現場情報のデジタル化

Download files

contactお問合せ downloadダウンロード