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入門編⑤:デジタルトランスフォーメーション(DX)で実現する新しいビジネスモデル DXで何を目指すのか?

入門
2019-11-06
デジタルトランスフォーメーション(DX)で実現する新しいビジネスモデル DXで何を目指すのか?

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、「新しいデジタル技術を活用してビジネスモデルを変革することにより、競争優位性を確立すること」です。

そして、デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現に向けた第一歩は、「どのようなビジネスモデルを目指すのか」を定めることです。これは、企業としての戦略そのものであり、非常に重要且つ難しい決断になります。

自社の特徴、競合の動向、外部環境(特に技術の進歩)などから総合的に考える必要があり、「正解」はありませんが、成功の確率を高めるために「王道パターン」を知っておくことは大変有益です。

そこで本コラムでは、デジタル時代の代表的なビジネスモデル(※1)についてご紹介していきます。

※1:ここでは、顧客に対するサービスの内容や提供方法、収益構造などを広く含めて「ビジネスモデル」としています。

消費者動向の変化

ビジネスモデルの紹介の前に、これらを理解する上で重要となる、近年の消費者動向の変化を表すキーワードについて、簡単に解説しておきます。

一つ目は、「モノ消費からコト消費へ」です。モノとは、個別の製品やサービスの持つ機能的価値を、コトとは、様々な製品やサービスを通して得られる「一連の体験」を表します。三種の神器(冷蔵庫、洗濯機、テレビ)など生活必需品の飽和、市場の成熟化に伴い、一般消費者のモノに対する興味が低下し、コトを重視した消費動向に変化しています。

これに関連の深い変化として、もう一つ、「所有から利用へ」があります。リーマンショックに始まる経済危機により無駄な消費を控える機運が高まったこと、「コト」重視によりモノの所有に対する興味が薄れたことなどを背景に、若年層を中心に「必要に応じて利用する」という考え方が浸透してきています。

それでは、これらを踏まえて、デジタル時代のビジネスモデルをご紹介します。

デジタルトランスフォーメーション(DX)で実現する新しいビジネスモデル   DXで何を目指すのか?

サブスクリプション

サブスクリプションモデルとは、特定の製品やサービスを売り切るのではなく、それらを一定期間利用できる「権利」を販売するビジネスモデルです。

新聞の定期購読など、原型となるビジネスモデルは古くから存在していましたが、デジタル技術の発展により、多くの産業でこのモデルが浸透・発展しています。

例えば、音楽ストリーミングサービスのSpotifyは、CDやダウンロードでの個別楽曲の「購入」に代わり、最新の楽曲や、人気・お薦めの楽曲を自由に聞くことのできる「体験」をサブスクリプションモデルで提供し、消費者の大きな支持を得ることに成功しました。その後、競合各社が同様のサービス提供を開始した他、映画、雑誌、新聞など、あらゆるデジタルコンテンツで同様のサービスが提供されるようになっています。

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ソフトウェアの分野でも、アドビ社が従来からクリエイターに圧倒的な人気を誇っていたアプリケーション群のパッケージ販売をやめ、一定期間最新バージョンを利用できる権利のサブスクリプション販売に移行したことで話題になりました。

また、これらのデジタルコンテンツ以外でも、自動車、教育、ファッション、ヘルスケア、保険、不動産、金融など、様々な分野で新しいサブスクリプション型のサービスが提供されています。

サブスクリプション型のビジネスモデルでは、売り切り型の従来モデルと比べ収益構造も大きく変化します。販売時にのみ高額の売り上げが発生するのではなく、低額の売り上げが利用期間中継続する形となるため、収益やキャッシュフローは短期的には悪化する一方、長期的には安定的な売り上げを得られるようになります。このため、経営指標としては、瞬間的な売り上げではなくLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)という考え方が重要となります。

プラットフォーム

プラットフォームとは、製品・サービス・情報を集めた「場」を意味する言葉であり、場の利用料や参加者間の取引仲介料、場に集まるビッグデータの活用などで収益化を図るビジネスモデルがプラットフォームビジネスです。

プラットフォームビジネスの特徴は、参加者(サービス提供者、及び利用者)が増加することによって「場」の魅力・価値が高まり(ネットワーク効果)、更なる参加者の増加をもたらして、1社で実現できる規模をはるかに超えたサービスを提供できる可能性を秘めているという点にあります。

こちらも、原型となるビジネスモデルは従来から存在し、例えば、クレジットカードや電話・携帯電話などがこれにあたります。(利用可能店舗や通話できる相手が増える程、サービスの魅力が高まる。)

デジタル時代では、インターネット経由で価値の交換(物品の売買、情報提供など)が可能となったこと、ビッグデータを扱う基盤の拡大が容易になったことなどにより、様々なプラットフォーム型のビジネスが生まれています。

例えば、楽天市場は、インターネット上の「市場」とも言える場を提供し、出店者と消費者双方にとって魅力あるプラットフォームとして、圧倒的な規模の拡大を実現しました。

また、UberやAirbnbなど、シェアリングエコノミーと呼ばれるマッチングサービスも、代表的なプラットフォームビジネスの一つです。

そして、世界の時価総額ランキング上位を占めるGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)のビジネスも、実は全てプラットフォームビジネスであり、規模拡大による価値の向上と、収集されるビッグデータの活用(ターゲティング広告など)をうまく組み合わせ、世界標準とも言えるプラットフォームの構築に成功しています。

このように、デジタル時代のプラットフォームは、ビジネス規模の拡大を図る上で非常に魅力的なビジネスモデルの一つであると言えるでしょう。

【参考】製造業のデジタルトランスフォーメーション(DX)データ活用のポイント

デジタルトランスフォーメーション(DX)で実現する新しいビジネスモデル   DXで何を目指すのか?

パーソナライゼーション

デジタル時代の顧客へのサービス提供のあり方として重要になるのが、パーソナライゼーション(個別対応)です。

これは、モノ消費からコト消費へという流れの中で、製品やサービスを一律同じ形で提供するのではなく、消費者一人ひとりの趣味・嗜好や価値観、更にはその場のシチュエーションに合わせて最適な形にカスタマイズして提供することにより、体験価値・LTVの最大化を図るという考え方です。

例えば、Amazonでのお薦め商品提示、Spotifyでの嗜好・シチュエーションに応じたプレイリスト再生や、飲食店からスマートフォンへのクーポン配信などがこれにあたります。

これまでにも、顧客セグメント毎のカスタマイズという考え方は一般的でしたが、セグメントを極限まで細かく、個人単位にまで分解したのがパーソナライゼーションです。スマートフォンなど個人デバイスの普及や、IoT、AIなどのデジタル技術の進歩により、より高度なパーソナライゼーションの実現が可能となってきています。

【参考】デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現にAIは不可欠

デジタルトランスフォーメーション(DX)で実現する新しいビジネスモデル   DXで何を目指すのか?

デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みをお考えの方へ

本コラムでは、デジタル時代の代表的なビジネスモデルについてご紹介しました。

デジタルトランスフォーメーション(DX)で目指すビジネスモデルを検討するにあたっては、これらの「王道パターン」を参考にしながら、自社ならではの競争優位性の築き方を見出せるかどうかが成功の鍵となります。その他にも、業界の理解、自社の特徴の分析に加え、デジタル時代ならではの法則や定石の理解が不可欠です。

「デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組みたいが、目指すビジネスモデルに自信が持てない…」

そのような方は、ぜひ、コアコンセプト・テクノロジーにお問い合わせください。

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