DX推進室の役割

目次

  1. DXの概要
    1. DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
    2. DXの必要性
    3. 自社DX化がもたらすメリット
  2. DX推進室
    1. DX推進室とは
    2. DX推進室の役割と責務
    3. 立ち上げ時の注意点
  3. DX推進室責任者・リーダーに求められるもの
    1. 情報収集力・調査力
    2. デジタルビジョンとロードマップの策定力
    3. 全社的統制力・リーダーシップ
    4. ステークホルダーとの関係構築力
    5. イノベーションと変革に対する推進力
    6. データ分析と利活用
  4. まとめ

DX推進室は、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するために設立される部署です。急速なデジタル技術の進化に伴い、企業はビジネスモデルや業務プロセスの変革が求められるようになりました。このデジタル変革を成功させるためには、DX推進室、そしてその部署内でリーダーを務める人間が重要な鍵を握っています。

本記事では、DXの概要から始め、DX推進室の役割、さらにはDX推進室責任者・リーダーに求められる役割を6つのポイントに絞ってわかりやすく解説します。

DXの概要

DX推進室の役割

DXの基本と必要性、自社DXがもたらすメリットについて以下で解説します。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

DXとは、デジタルトランスフォーメーションの略で、企業がデジタル技術を活用してビジネスモデルや業務プロセス、組織文化などを変革し、新たな価値を創出することなどを指します。この変革は、単に既存の業務を効率化するだけでなく、顧客体験の向上や新しいビジネスチャンスの創出をもたらします。またDXそのものについてご興味ある方は以下の記事も合わせてご覧いただけたらと思います。

DXの必要性

近年、市場環境の変化や消費者ニーズの多様化により、DXの必要性が高まっています。適切なデジタル技術を見極め、それらを駆使することで、企業は迅速に市場変化に対応し、競合他社に対する競争優位性を確保することができます。例えば、ビッグデータやAIを活用して消費者の行動パターンを定量的に分析し、マーケティング計画や戦略を素早く調整することができます。また、クラウドサービスを利用することで、リモートワークを根幹から支える柔軟なITインフラを構築し、従業員の士気を高める他、業務の継続性や効率性を高めることができます。コロナ禍においては、テレワークの普及など、DXが企業の持続可能性を支える重要な要素となっています。

自社DX化がもたらすメリット

自社のDX化により、業務プロセスの効率化によるコスト削減、データ分析を活用した意思決定の高度化、顧客満足度の向上による売上アップなど、多岐にわたるメリットを得ることができます。例えば、紙ベースの書類管理をデジタル化することで、検索時間や保管スペースを削減し、経費を大幅に削減できます。また、顧客の購買履歴や行動データを分析することで、より的確なマーケティング戦略を立て、売上の向上につなげることができます。さらに、新たなビジネスモデルの確立により、従来の業界枠を超えた事業展開も可能になります。自社のDX化については下記の記事でも触れていますので、こちらも合わせてご確認いただけたらと思います。

DX推進室

DX推進室の役割

DX推進室の基本と役割と責務、立ち上げ時の注意点について以下で解説します。

DX推進室とは

DX推進室は、企業内に新規で設置されることが多い部署の一つで、自社のDX化を推進する部隊と言えます。DX推進室は、企業全体の中長期DX戦略の策定や実行、自社に適応するデジタル手法の情報収集・調査、関連するプロジェクトの管理などを行います。企業の一部では、各部署のエースを集め、タスクフォースを編成することもあります。

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DX推進室の役割と責務

DX推進室の主な役割は、DX戦略の策定とその実行にあります。これには、最新のデジタル技術の調査、業務プロセスのデジタル化、社内のデジタルスキル向上のための研修の実施などが含まれます。また、社内外の関係者との連携を図りながら、DXによるビジネスモデルの変革や新たなサービスの開発を推進することも重要な責務です。

立ち上げ時の注意点

DX推進室を立ち上げる際には、3つの注意点があります。

まず1つ目ですが、経営層の強い支持と理解が必要です。DXは企業全体に影響を与えるため、時にはトップダウンで意思決定を行わなければ、収束しない事態が訪れます。そのような時に、経営層の介入が無ければ、自社DXプロジェクトは頓挫、最悪の場合は終了といった結末を迎えてしまいます。そのため、DX推進室は経営層と強固な関係で繋がっていなければなりません。

次に2つ目ですが、DX推進室のメンバーは、デジタル技術だけでなく、自社のビジネスモデルに関して深い知見を持っている必要があります。前述の通り、自社DX化は組織横断的に行われます。一部署の知見だけ豊富なメンバーだけが集まってしまうと、部分最適な判断に走る傾向があります。そのため、全社的な視点に立ち、自社にとってのベターはどのような判断か、俯瞰的に物事を考えられるメンバーをアサインすることが重要になってきます。

最後に3つ目ですが、社内の既存業務や社風・文化に対する抵抗を乗り越えていくために、社員の意識改革や教育を計画・実行する必要があります。自社DX化が動き出しても社員がDXに対して前向きでないと、その流れは加速しません。事前に意識計画や教育・研修を行うことで、そのような事態を回避しましょう。

これらの注意点を怠ると、DX推進室の取り組みは社内での支持を得ることができず、プロジェクトが頓挫、最悪の事態としては終了する可能性があります。

DX推進室責任者・リーダーに求められるもの

DX推進室の役割

DX推進室責任者・リーダーに求められるものは主に6つあります。詳細は以下の通りです。

  • 情報収集力・調査力
  • デジタルビジョンとロードマップの策定力
  • 全社的統制力・リーダーシップ力
  • ステークホルダーとの関係構築力
  • イノベーションと変革に対する推進力
  • データ分析と利活用

それぞれについて解説します。

情報収集力・調査力

DX推進室のリーダーは、最新のデジタル技術やツール、そして市場動向にアンテナを張り、常に情報収集し、分析する能力・スキルが求められます。この情報は、企業のDX戦略策定や意思決定をするにあたって、必要不可欠なものです。例えば、競合他社のDX化の動きや新しいテクノロジーの導入事例などを徹底して調査し、自社に適合するか否かを自身の頭で思考できるかは非常に重要な要素です。

デジタルビジョンとロードマップの策定力

DX推進室のリーダーは、企業の将来像を描くデジタルビジョンを明確にし、それを実現するためのロードマップを策定する力が必要です。このビジョンとロードマップは、全社的に共有できるレベルとし、かつ共通部分を持つ目標として設定することで、自社DX化の取り組みを円滑に進める指針となります。

全社的統制力・リーダーシップ

DX推進室のリーダーは、全社的な視点でDXの取り組みをまとめ、統制し、最後までやり遂げるといった気概を持ってプロジェクトを牽引していかなければなりません。自社DX化が始まると、恐らく何度も大きな問題に直面するでしょう。そのときに、統制力・リーダーシップを持つリーダーでなければ、心が折れてしまう可能性があります。それでは元も子もありませんので、DXプロジェクトを開始する前に、誰が適任か、責任をもってやり遂げてくれるか、経営幹部層の中では十分な検討が必要です。

関連記事:【2025年版】システム開発会社おすすめ18選と費用相場を解説

ステークホルダーとの関係構築力

DX推進室のリーダーは、社内外のステークホルダーとの関係を構築し、協力を得る能力が必要です。これには、顧客、パートナー企業、ITベンダー、政府や行政機関など、さまざまな関係者とのコミュニケーションが必要になります。例えば、顧客のニーズを把握し、それに応える新しいサービスを開発することが挙げられます。

イノベーションと変革に対する推進力

DX推進室のリーダーは、イノベーションを生み出し、組織の変革を推進する力が求められます。これには、新しいアイデアの提案や、従来の業務プロセスの見直し、組織文化の変革などが含まれます。リーダー自身が変革の先頭に立ち、社員を引っ張っていく姿勢が重要です。

関連記事:自社のDX化が失敗に終わる理由とは。課題や実例を紹介

データ分析と利活用

DX推進室のリーダーは、データを収集、分析し、それをビジネスに活かす能力が求められます。データに基づいた意思決定により、より効果的なDX戦略を策定し、実行することが可能になります。例えば、顧客データの分析により、顧客のニーズをより深く理解し、新しいサービスや製品の開発につなげることができます。

また下記では自社DX化プロジェクトを成功に導く企業・組織の共通項をまとめております。こちらもご関心ある方は是非ご覧ください。

下記の記事は、自社のDX化プロジェクトを失敗させてしまう原因について纏めたものです。課題や実例にも触れていますので、こちらも合わせてご確認いただけたらと思います。

関連記事:Googleが行うDXとは。最新技術を活用した成功事例を紹介

まとめ

DX推進室の役割

この記事では、DX推進室のリーダーに求められる役割と6つの要素について解説しました。DX推進室のリーダーは、最新のデジタル技術や市場動向に関する情報を収集・分析する情報収集力・調査力、企業の将来像を描くデジタルビジョンと実現のためのロードマップを策定する力、全社的な視点でDXの取り組みを統制・牽引し、社内外の関係者を上手く巻き込む必要があります。また、自社DX化プロジェクトを推進するリーダーシップ力、社内外のステークホルダーとの関係を構築し協力を得る力、そしてイノベーションと変革に対する推進力も要求されます。

DX推進室のリーダーは、これらの要素をバランスよく備え、組織全体をデジタル変革へと導く重要な役割を担っています。テクノロジーの進化は日進月歩であり、DX推進室のリーダー自身も常に学び、メンバーと共に成長し続ける必要があります。また、ステークホルダーの理解と協力を得るために、コミュニケーション能力にも長けていなければなりません。DX推進室のリーダーが示すビジョンと情熱、気概がステークホルダーの心を揺れ動かし、組織全体のDX化を加速させるのです。

DX推進室の立ち上げやDX/ITコンサルティングのご要望がございましたら、是非GeNEEまでご相談ください。お客様のニーズや将来的な事業方針をヒアリングした上で最適な開発手法をご提案いたします。こちらの問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。

飯嶋シロ
監修者
飯嶋シロ
コンテンツマーケティングディレクター
<略歴>
慶應義塾大学卒業後、日系シンクタンクにてクラウドエンジニアとしてシステム開発に従事。その後、金融市場のデータ分析や地方銀行向けITコンサルティングを経験。さらに、EコマースではグローバルECを運用する大企業の企画部門に所属し、ECプラットフォームの戦略立案等を経験。現在は、IT・DX・クラウド・AI・データ活用・サイバーセキュリティなど、幅広いテーマでテック系の記事執筆・監修者として活躍している。

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