サプライチェーンマネジメントは必要?取り組むメリットや課題とは
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多くのリスクを抱える現代の企業にとって、サプライチェーンマネジメントは欠かせないものです。近年では新たなリスクも増えており、早急な対策が求められる例も少なくありません。どのような施策を進めるべきなのか、考え方のポイントを押さえていきましょう。

目次

  1. サプライチェーンマネジメント(SCM)とは?対応が必要とされる背景
  2. サプライチェーンマネジメントに取り組むメリット
  3. 各工程で期待できる効果
  4. インダストリー4.0とSCM
  5. サプライチェーンマネジメントはどう進める?成功事例から見るポイント
  6. サプライチェーンマネジメントの課題や問題点
  7. サプライチェーンマネジメントに役立つ支援策
  8. SCMシステムを導入し、供給プロセスの最適化に取り組もう

サプライチェーンマネジメント(SCM)とは?対応が必要とされる背景

サプライチェーンマネジメントとは、企業が製品を供給するまでの流れを見直し、各プロセスの連携を強めることです。具体的には「調達・製造・流通・販売・消費」の流れを改善する施策であり、この一連の流れは「サプライチェーン」と呼ばれています。

サプライチェーンマネジメント

日本では新型コロナウイルスや東日本大震災などの災害をきっかけに、サプライチェーンマネジメントの必要性が高まっています。また、労働環境やビジネスモデルの変化も、サプライチェーンが見直されている要因です。

これらの出来事が国内企業にどのような影響を与えたのか、詳しく見ていきましょう。

新型コロナウイルスの影響で、生産拠点を分散する動きが顕著に

新型コロナウイルスが蔓延したことにより、2020年以降の日本では外出制限や渡航制限が行われました。海外でも人の行き来が制限されており、外国からの仕入れが必要な業界や、人的リソースに左右される業界は大きなダメージを受けています。

企業によっては運転資金の確保に取り組むなど、すでにサプライチェーンマネジメントを進めている例は少なくありません。特に生産拠点が海外に集中していると、ほかのリスク(紛争や政情不安など)の影響も受けやすいため、生産拠点を国内外に分散させるケースが増えてきました。

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自然災害で日本のサプライチェーンは停滞しやすい

2011年3月に発生した東日本大震災も、サプライチェーンマネジメントが注目され始めたきっかけです。

災害は広範囲に影響を及ぼすものであり、例えば2011年には被災地域のサプライチェーンが停滞したことで、部品などを調達できない企業が相次ぎました。つまり、局所的な災害であっても、2次サプライヤや最終納品先のメーカーは何らかの影響を受けます。

日本を含むアジアは自然災害の発生件数が多く、ほかにも台風や洪水などのリスクがあります。

そのため、いつどこで災害が発生してもダメージを抑えられるように、ほとんどの業界ではサプライチェーンを見直す必要があります。

サプライチェーンには現代社会ならではの課題もある

日本では少子高齢化が進むにつれて、10代~50代前半の労働力人口の割合が減少しています。現状が続くと、シニア人材が増える一方で若年層の労働力が減るため、多くの業界が人材不足に直面すると考えられます。

サプライチェーンマネジメントは必要?取り組むメリットや課題とは

また、グローバル化によるサプライチェーンの複雑化も、企業にとっては軽視できない問題です。調達や流通のルートが複雑化すると、余計なコストがかかるだけではなく、トラブルの察知や対応も難しくなります。

これらの問題を解決するには、サプライチェーン全体を細かく見直し、各プロセスを効率化・簡素化する必要があるでしょう。

ロジスティクスとの違い

サプライチェーンマネジメントとよく混同される言葉に、ロジスティクスがあります。どちらも、原材料の調達から製品の消費までの流れを管理するという意味を持ちますが、ロジスティクスは企業内で最適化を図ることを指し、サプライチェーンマネジメントはサプライチェーン上の全ての企業と最適化を図ることを指します。

つまり、一つの企業で解決できないような、より広い範囲で最適化を行えるのがサプライチェーンマネジメントなのです。よって、ロジスティクスで解決できなかった問題も、サプライチェーンマネジメントを行うことで解決できるかもしれません。

サプライチェーンマネジメントに取り組むメリット

サプライチェーンマネジメントに取り組むと、企業にはコスト削減や生産性アップなどのメリットが生じます。初期コストはかかりますが、これらのメリットを最大化できれば将来的に回収できます。

以下で解説するメリットをしっかりと意識し、最大化するための計画を立てていきましょう。

さまざまな経営コストを削減できる

サプライチェーンマネジメントに取り組むと、供給の最適化によってさまざまな経営コストを削減できます。

分かりやすい例としては、調達先の見直しによる仕入れ費の削減が挙げられるでしょう。サプライヤの見直しや価格交渉が成功すれば、原材料や部品を低コストで仕入れられるため、製品の原価を大きく抑えられます。

また、サプライチェーン全体が効率化されると、製造コストや物流コスト、人件費なども節約できます。

リードタイムの短縮により生産性がアップする

サプライチェーンマネジメントによって各プロセスのムダを省くと、原材料などの発注から納品までのリードタイムを短縮できます。つまり、サプライチェーン全体が効率化されるため、企業の生産性がアップするでしょう。

さらに、在庫の適正化や供給スピードをアップさせる効果もあるので、サプライチェーンマネジメントでは収益の大幅な増加を見込めます。

状況に合わせてスピーディーに経営判断できる

サプライチェーンマネジメントには、データ化やモニタリングによってサプライチェーンを可視化し、自社の課題を洗い出す方法があります。このような施策に取り組むと、取引先や市場の状況をリアルタイムで把握できるため、状況に合わせたスピーディーな経営判断が可能になります。

特に大きな利点としては、消費者ニーズへの柔軟な対応や、早急なトラブル解決が挙げられるでしょう。的確な経営判断を下しやすくなるため、自社に潜むさまざまなリスクを抑えられます。

各工程で期待できる効果

ここでは、4つの工程別にサプライチェーンマネジメントの効果を解説します。

調達プロセス

調達プロセスでサプライチェーンマネジメントを行うと、コスト・品質・安定性のを改善できます。例えば、コスト面を改善するには、材料調達の企業や取り寄せ方法の見直しが効果的でしょう。

また、どれだけ安価に仕入れられる企業を見つけたとしても、安定的に供給できなければ生産がストップしてしまい、販売機会を失ってしまうかもしれません。そのため、安定性も重視すべきです。これらを改善できると、品質向上や低価格を実現しながら、利益の取りこぼしを最小限に抑えられるようになります。

生産プロセス

生産プロセスを改善すると、企業の強みをより生かせるようになります。例えば、安さが売りの企業は、大規模生産システムを導入することで、さらに安価な商品を顧客に届けられるようになります。

一方、顧客の要望を精度高く反映したオーダーメイド製品が売りの企業は、カスタマイズが容易な生産システムを導入することで、効率的に生産することができるようになるでしょう。このように、生産プロセスのサプライチェーンマネジメントを行うことで、自社の強みをより生かした製品を、効率的に生産できるようになります。

販売・物流プロセス

販売・物流プロセスでサプライチェーンマネジメントを行うと、製品を効率よく顧客に届けることができます。例えば、顧客に合わせて販売チャネルを最適化することで商品を購入しやすくなり、収益増加が見込めます。

また、物流プロセスの無駄を省くことで、コストカットを図れるかもしれません。このように、販売・物流プロセスでサプライチェーンマネジメントを行うと、製品が顧客に届くまでの流れを最適化することができます。

返品プロセス

返品プロセスを最適化すると、顧客からの信頼や、顧客満足度の向上が期待できます。製品の全てを完璧にして顧客に届けることは現実的に難しいため、返品の対応は必要不可欠です。

ただし不良品があった場合でも、返品プロセスでよい体験ができれば、企業の信頼を高めることができます。逆に、返品プロセスで悪い体験をしてしまうと、口コミで悪評が簡単に広まってしまいます。このような事態を避けるためにも、顧客に製品が渡った後の対応も非常に重要です。

インダストリー4.0とSCM

インダストリー4.0は「第四次産業革命」という意味を持ち、以下のような目的のもと、行われています。

インダストリー4.0の主眼は、スマート工場を中心としたエコシステムの構築である。人間、機械、その他の企業資源が互いに通信することで、各製品がいつ製造されたか、そしてどこに納品されるべきかといった情報を共有し、製造プロセスをより円滑なものにすること、さらに既存のバリューチェーンの変革や新たなビジネスモデルの構築をもたらすことを目的としている。
出典:総務省「インダストリー4.0とは」

これらは、サプライチェーンマネジメントなしでは成り立たないものだとも考えられます。例えば、「人間、機械、その他の企業資源が互いに通信する」にはサプライチェーン上の企業間の連携が欠かせませんし、「既存のバリューチェーンの変革や新たなビジネスモデルの構築をもたらす」にはサプライチェーンの最適化が必要になるでしょう。

つまりインダストリー4.0は、サプライチェーンマネジメントが実施されて、はじめて実現するものだと捉えることもできます。インダストリー4.0で産業革命を起こすには、サプライチェーンマネジメントの実施が必要になると言えるでしょう。

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サプライチェーンマネジメントはどう進める?成功事例から見るポイント

サプライチェーンマネジメントは、洗い出した課題をもとに施策を考える必要があります。抱えている課題によっては、新たなデジタル技術の導入やシステムの根本的な見直しが必要になることもあるでしょう。

世の中の企業はどのように進めているのか、ここからは経済産業省による「サプライチェーン イノベーション大賞(2022年)」の受賞作品から3つの成功事例を紹介します。

【事例1】3社での協力によって年間1.5億円をコスト削減/日本アクセス

総合食品商社の『株式会社日本アクセス』は、物流を最適化するために2社のパートナー企業と「物流改善PJ」を発足しました。この発足を機に、以下のプロセスで具体的な施策を策定しています。

○日本アクセスのサプライチェーンマネジメントの流れ
1.現状分析と課題の洗い出し
2.取り組み内容の策定
3.効果検証と情報共有
4.新たな課題の抽出と施策策定

上記の流れで4つの課題を洗い出し、例えば作業待ち時間が頻発していた課題に対しては、入荷時間の前倒しによって作業を効率化させています。そのほかの課題についても、解決につながる施策を着実に実行することで、年間約1.5億円のコストカットを実現しました。

サプライチェーンマネジメントを成功させるには、課題の徹底的な洗い出しと、課題を意識したプラン策定がポイントになります。また、サプライチェーンはすぐに最適化できるものではないため、効果検証によって成果を数値化することも重要です。

【事例2】新たなデジタル技術でローコストの施策を実現/薬王堂、PALTAC

全国にドラッグストアを展開する『株式会社薬王堂』は、大きなコストをかけずにサプライチェーンを改善した企業です。返品や販売機会ロスに課題を抱えていた同社は、薬品の卸販売をしている『株式会社PALTAC』と協力する形で以下の施策に取り組みました。

○薬王堂とPALTACの取り組み例
・製品の店舗間移動によって返品を削減
・需要予測アルゴリズムを導入し、在庫の適正化やスムーズな店舗間移動を実現
・ハンディターミナルへのデータ転送による情報共有のスムーズ化

上記の施策によって、小売店からの返品率は0.78%下がっており、配送トラックの削減も実現しています。また、過剰在庫をニーズのある店舗に回すことで、売上にも一定の効果が表れました。

すでにデジタル化を進めている企業であっても、この事例のように根本的なシステムを見直せば、サプライチェーンを大きく改善できる可能性があります。

【事例3】複数社による実証実験で労働環境を改善/食品物流未来推進会議、日食協物流問題研究会

サプライチェーンマネジメントは、多くの団体が協力して行われることもあります。例えば、大手食品メーカーが参画する『食品物流未来推進会議』と『日食協物流問題研究会』は、納品リードタイムを延長させる施策に取り組みました。

収益を考えると、納品までの時間は短いことが理想ですが、リードタイムの短縮化は労働者の負担になります。また、2024年にはトラックドライバーの時間外労働上限が引き下げられる状況も考慮し、この施策は「持続可能な物流」をテーマとして進められました。

実際の施策では、複数社がさまざまな受注締め時間を実証実験することで、精密なデータ収集に成功しています。物流への悪影響を抑えながら、リードタイムを伸ばせるサプライチェーンを見極めたことが評価され、この取り組みは2022年のサプライチェーン イノベーション大賞に選ばれました。

サプライチェーンマネジメントの課題や問題点

サプライチェーンマネジメントにはリスクもあり、方向性を間違えると経済的または人的な負担が増大します。効果的な施策を打ち出すには、デメリットにあたる部分も理解しておかなければなりません。

ここからは、サプライチェーンマネジメントで直面しやすい課題や問題点を見ていきましょう。

施策によっては大きな初期コストがかかる

新たなシステムやデジタル技術を導入する場合は、多大な初期コストがかかることもあります。仕様にもよりますが、例えば他社が開発した需要予測システムを導入する場合は、数百万円のコストがかかることも珍しくありません。

自社でシステム開発をする方法もありますが、この場合は採用コストや人件費がかかります。プランの策定段階から専門家の力を借りる場合は、さらに多くのコストが生じるでしょう。

前述の事例からも分かるように、サプライチェーンマネジメントは効果検証をしながら長期に取り組むものなので、キャッシュフローには細心の注意を払う必要があります。

従業員の負担が一時的に増える

基本的にサプライチェーンマネジメントでは、大がかりな施策が必要になります。労働環境の改善につながる施策であっても、一時的に従業員の負担が増えることは覚悟しなければなりません。

また、組織が大きいほど抜本的な見直しが求められる点も、注意しておきたいデメリットです。企業文化によっては、従業員から拒絶されるリスクもあるので、事前に情報共有や意識統一を済ませておく必要があります。

中小企業では選択肢が少ない傾向にある

サプライチェーンマネジメントでは初期コストがかかるため、資金の少ない中小企業は選択肢が狭まりがちです。特に地方の企業はパートナーの幅も狭いので、調達・物流プロセスの見直しが難しいこともあります。

サプライチェーンマネジメントはあくまで手段であり、企業にとっての目的(ゴール)ではありません。無理に施策を推し進めようとせずに、IoTを活用して新たなサプライヤを探すなど、工夫しながら効果的な施策を考えましょう。

サプライチェーンマネジメントに役立つ支援策

サプライチェーンマネジメントを進める際には、政府による支援を受けられることもあります。システム導入費の一部が補助・助成されるような制度を利用すれば、資金が少ない企業でも本格的な施策を進められるかもしれません。

実際にどのような支援策があるのか、利用できる可能性がある制度を見ていきましょう。

最大100億円が補助される『サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金』

サプライチェーンマネジメントの一環で、建物や設備、システムを導入する企業を対象とした支援策です。導入コストのうち大企業は25~50%、中小企業は25~66%にあたる補助金が支給されます。

最大で100億円の補助を受けられる制度ですが、対象事業が細かく定められています。基本的には生産拠点が集中している企業や、サプライチェーン断絶による影響が大きい事業が対象であり、原則として対象事業は2025年3月31日まで継続する必要があります。

実施主体経済産業省
対象者新たな建物や設備、システムを導入する企業
補助率大企業:2分の1以内から4分の1以内
中小企業:3分の2以内から4分の1以内
(※中小企業特例事業の場合は3分の2以内)
補助上限100億円
(※中小企業特例事業の場合は5億円)
主な要件・2025年3月31日まで対象事業を継続すること
・指定の「補助対象事業」に含まれること
・サプライチェーン断絶の影響が大きい事業であること など
公式サイトhttps://www.meti.go.jp/covid-19/supplychain/index.html

デジタル技術の導入を支援する『IT導入補助金』

パソコンやタブレット、ソフトウェアなど、ITツールを導入する中小企業を対象とした制度です。ITツールを複数社で連携するケースも対象であり、最大で導入コストの75%にあたる補助金が支給されます。

サプライチェーンマネジメントに特化した制度ではありませんが、ITツールの導入はサプライチェーンの改善に役立ちます。ただし、対象ツールが細かく決められているため、導入前に要件を確認しておきましょう。

実施主体経済産業省
対象者ITツールを導入する中小企業
補助率最大で4分の3以内
(※類型によって異なる)
補助上限3,000万円
(※類型によって異なる)
主な要件・中小企業または小規模事業者に該当すること
・指定のITツールを導入すること
・類型ごとのプロセス要件を満たしていること など
公式サイトhttps://www.it-hojo.jp/

ビジネスモデルの変革に活用できる『事業再構築補助金』

新分野への展開や業態転換など、大がかりな事業再構築に取り組む中小企業を支援している制度です。システム構築費や機械装置導入費のほか、技術導入費、加工や設計に関わる外注費、広告宣伝費なども補助対象に含まれます。

経費として認められたコストの最大75%の補助を受けることができ、従業員数101人以上の企業では8,000万円が補助上限額になります。対象経費の幅が広いので、サプライチェーンマネジメントに限らずさまざまな場面で活用できるでしょう。

実施主体経済産業省、中小企業庁
対象者事業再構築に取り組む中小企業
補助率最大で4分の3以内
(※適用される枠によって異なる)
補助上限8,000万円
(※適用される枠や従業員数によって異なる)
主な要件・コロナ禍以前と比べて合計売上高が減少していること
・金融機関などと一体となって施策を進めること
・付加価値額の年率平均を3.0%以上増加させること など
公式サイトhttps://jigyou-saikouchiku.go.jp/

SCMシステムを導入し、供給プロセスの最適化に取り組もう

製品一つに多くの企業が関わるようになったいま、サプライチェーンの見直しを迫られている企業も多いのではないでしょうか。特に、長い間サプライチェーンの改善を行っていない企業は、多くの最適化案が見つかるでしょう。それらを解決すれば、利益の増加やバリューチェーンの革新が実現するかもしれません。

そのためには、自社に合ったSCMシステムが必要です。本記事で紹介した事例では、以下のようなシステムを導入することで、事業に好影響を与えています。

・日本アクセス、同社のパートナー企業2社の取り組み
→需要予測や受発注、品質管理から実績管理までを一貫して行うシステムの導入で年間1.5億円のコストを削減

・薬王堂、PALTACの取り組み
→需要予測アルゴリズムの導入で、在庫の最適化と返品率の低下を実現

・食品物流未来推進会議、日食協物流問題研究会の取り組み
→現場を見える化できるシステムの導入で実態調査を行い、リードタイムを最適化して労働環境を改善

このように、サプライチェーンを改善するだけで、億単位のコストを削減できることも可能です。これらは大規模な改善例のため、大きな利益を生み出すことに成功しています。しかし、小規模なサプライチェーンに関わっている企業でも、最適なSCMシステムを選定すれば、導入費用以上のメリットを得られる可能性は十分にあります。

これを機に、自社が関わるサプライチェーンの可視化を行って課題を洗い出し、まずは自社の利益に繋げられるかを検討してみてはいかがでしょうか。

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