SFAツールとデータ分析手法3選!分析時のポイントも解説!

SFA(営業支援システム)は、導入後の運用や分析が非常に重要になります。本記事では、SFAを導入後のデータ分析が必要な理由、データ分析の4つの種類、データ分析をする時のポイントやSFAがうまく機能しない原因について解説します。

目次

  1. SFAとは?
  2. SFAでデータ分析が大切な理由
  3. データ分析の3つの種類
  4. SFAを導入しても成果につながらない原因
  5. SFAでデータ分析をするときのポイント
  6. Salesforceを利用するとデータ分析が容易に!
  7. まとめ

SFAとは?

SFAは「Sales Force Automation」の頭文字から成る略語で、日本では「営業支援システム」と呼ばれます。営業プロセスを可視化し、「営業メンバーの行動」「商談の進捗状況」など情報として蓄積・管理し、効率的に売上へ結び付けるツールです。

SFAは1990年代に米国で提唱され、日本では2000年代以降に通信インフラ整備と共に普及しました。SFAの市場は年々拡大傾向で、「営業DXを実現するツール」として注目を集めています。

SFAでデータ分析が大切な理由

SFAを利用すると、営業担当者は顧客情報をより正確かつ迅速に収集・管理することができます。これにより、営業活動の効率化や生産性の向上が実現されます。

しかし、SFAを単に顧客情報の収集・管理ツールとしてだけではなく、データ分析ツールとしても利用することで、更なる価値を生み出すことができます。

SFAツールに蓄積されたデータを分析することで、顧客が興味を持つ商品やサービス、購買履歴などの行動を把握することができます。これにより、顧客のニーズや嗜好を理解し、顧客に適した商品・サービスを提供することができます。

また、SFAツールに蓄積されたデータを分析することで、営業活動の成果や効果的なアプローチ方法、活動時間の最適化などの分析、売上の傾向や地域性、商品やサービスごとの売上比率などを把握、将来の需要予測や購買傾向の予測も可能です。

SFAツールに蓄積されたデータを分析することで、より効果的な営業戦略の立案や改善、顧客満足度の向上などにつなげることができます。

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データ分析の3つの種類

SFAのデータ分析の方法として、以下の4種類を紹介します。

  • 傾向分析
  • 要因分析
  • 仮説検証
  • 予測分析

傾向分析

「傾向を分析する」とは、データの傾向やパターンを分析することで、データから価値ある情報を引き出すことを指します。

傾向を分析することで、過去のデータから未来の傾向を予測することができます。たとえば、販売データから傾向を分析することで、ある商品の売り上げが次第に増えている傾向があると分析できます。このような傾向を把握することで、将来の需要予測や在庫管理などの意思決定に役立てることができます。

また、ビジネス上の問題点を特定することができます。たとえば、顧客満足度の低下傾向がある場合、顧客対応に問題がある可能性があるため、改善策を考えることが重要です。このような分析は、ビジネス上の課題を発見し、解決するための基盤となります。

要因分析

ある現象や結果が発生した原因を分析することを要因分析といいます。例えば、ある商品の売り上げが低下した場合に、その原因を分析することが要因分析になります。

要因分析を行うことで、ビジネス上の問題点や課題を特定することができます。たとえば、売り上げ低下の原因が競合他社の製品が優れていることだった場合、商品開発やマーケティング戦略の見直しなどが必要となります。

要因分析には様々な手法があります。代表的な手法としては、5W1H分析や魚の骨図分析があります。5W1H分析とは、Who、What、Where、When、Why、Howの6つの質問を用いて、問題の本質を把握する方法です。魚の骨図分析とは、問題を中心にして魚の骨のような枝分かれした図を作成し、問題の原因を探る方法です。

要因分析には、データ分析技術を活用することもできます。たとえば、多変量解析や回帰分析を用いて、複数の要因が結果に与える影響を分析することができます。また、機械学習技術を用いた因果関係の解析も可能です。

要因分析を行うことで、ビジネス上の問題点を特定し、改善策を見つけることができます。そのため、データ分析においては要因分析は非常に重要な手法のひとつとなっています。

仮説検証

ある現象や問題について、ある仮説が成立しているかどうかをデータ分析によって検証することを指します。

例えば、ある製品の売上が低迷している原因は、販売地域の気候条件によるものではないかという仮説を立てたとします。そして、その仮説を検証するために、気候条件と売上データを比較し、相関関係があるかどうかを分析します。

相関関係がある場合、仮説が成立している可能性が高くなります。しかし、相関関係がない場合でも、仮説が完全に否定されるわけではありません。この場合は、別の要因が影響している可能性があるため、さらに分析を深める必要があります。

仮説を検証する手法は、データを客観的に評価し、問題解決のための方向性を導き出すのに役立ちます。ただし、適切な仮説の設定や分析方法の選択、データの品質確保などが必要であり、慎重な分析が求められます。

予測分析

AIが未来を予測する手法として、予測分析が注目されています。従来の分析方法は、過去の事実を調査する手法でしたが、予測分析は最近注目されているAIを用いた異なるアプローチです。予測分析では、市場から集めた大量のデータが対象となり、過去の記録や経験に頼るのではなく、予測モデルである「ニューラルネットワーク」を使用します。このモデルは、複雑で人間の思考に似た仕組みを持っており、見かけ上関連性がないデータ間でも関連性を見つけ、未来予測を行います。

AIの予測分析は確実性を提供するものではありませんが、機械学習を積み重ねることで精度を向上させることができます。さらに、特別な知識がない人でも利用できるSFA(Sales Force Automation)など、未来予測を容易に行えるツールも登場しています。このように、AIによる予測分析は、将来の出来事を予測し、ビジネスや意思決定に役立つ可能性が高まっています。

SFAを導入しても成果につながらない原因

SFAの導入が成果につながらない場合にはいくつかの理由が考えられます。導入目的が不明確、営業担当者がデータ入力を負担と感じている、データの活用ができていない、部門間でデータを連係できていないなどです。それぞれを解説します。

導入目的が不明確

SFAの導入は、従来の営業手法を劇的に変える可能性があります。したがって、導入目的への理解と合意が不足していると、SFAの浸透と定着が難しくなることがあります。特に、経験豊富な営業担当者は自身の成功に自信を持っているため、新たな方法に対して心理的な反発を起こしやすいと言えるでしょう。さらに、SFAは営業プロセスを可視化し、課題の発見や効率化を支援しますが、一部ではこれを監視と捉えることがあります。SFAの導入時には、導入目的を明確にし、部署間で共通認識を醸成しながら、多くの利点を説明して納得感を確保すること、さらに担当者になるべく仕組みによる窮屈さを感じさせないような工夫を施すことが肝要です。

営業担当が入力を負担に感じる

SFAを利用時のデータ入力負荷が高まると、担当者がデータ入力を怠る、あるいは精度の低い情報を入力し、適切なデータが得られなくなるといった問題が生じます。データ入力が煩雑で時間を消費するため、営業担当者は負担を感じ、本来の業務に集中できなくなります。これはSFAの利用を妨げ、データ品質の低下を招くため、信頼性のある分析や意思決定ができなくなります。正確なデータは営業戦略やリード管理、売上予測に不可欠で、データの不正確さはビジネスプロセスの透明性を損ない、課題の特定と改善を難しくします。SFA導入時には、データ入力プロセスを簡素化し、トレーニングやサポートを提供して担当者が効果的に活用できるようにする必要があります。データ品質の確保はSFAの成功に欠かせず、組織全体でその重要性を認識し、適切な対策を講じるべきです。

データ活用できていない

SFAが、効果的な戦略立案や効率的な営業プロセスの実現といった効果を発揮できない原因に、データを適切に収集・整理・活用できていないことが挙げられます。データ品質が低い場合、不正確な情報がSFAに蓄積され、信頼性のある分析や意思決定ができなくなります。また、データが適切に分類・整理されていないと、必要な情報を見つけるのが難しく、タイムリーな対応や戦略策定が妨げられます。データの活用方法についての指針が欠如していると、SFAの潜在的な価値を引き出せません。解決には、データの分析方法と活用の仕方に焦点を当てる必要があります。データ分析のプロセスを改善し、データ品質を向上させる取り組みが求められます。データ品質の確保には、データ入力の正確性を向上させるトレーニングや自動化ツールの導入も役立つでしょう。

部門間のデータ連携ができていない

SFAは営業部門とマーケティング部門が連携することで、初めて大きな効果を発揮します。営業とマーケティングの連携が不足すると、ターゲット市場などを選定する際の基準のずれや人的リソースの無駄遣い、リード品質の低下などが発生するため、効果的な営業活動を妨げ、アップセル・クロスセルの機会を逃すことがあります。これらの問題は、顧客情報が複数部門に散在していることが原因で発生します。SFAを活用し、データ連携を促進することで、営業部門は最新の情報を生かし、統合的な戦略を設計できるようになります。また、顧客に対するコミュニケーションに一貫性が出るため、ブランドへの信頼感を高められることや、データ駆動型の意思決定を徹底できるなどさまざまな効果を得られます。

SFAでデータ分析をするときのポイント

SFAツールとデータ分析手法3選!分析時のポイントも解説!

SFAでデータ解析をする時のポイントとしては以下の3点が挙げられます。

①分析して終わりではなく改善を行う
②必要に応じてExcelやスプレッドシートを利用する
③確実に改善できるところから取り組む

それぞれについて解説します。

①分析して終わりではなく改善を行う

SFAでデータ分析を行う際には、単に分析するだけではなく、問題点を改善するための具体的なアクションを打つことが重要です。

例えば、SFAによって得られたデータ分析によって、顧客離れが進んでいることが明らかになったとします。この場合、単に分析結果を報告して終わりにするのではなく、顧客離れが進む原因を分析し、それに対する改善策を考えて実施することが必要です。

具体的な改善策としては、例えば、顧客からのフィードバックを積極的に収集し、改善点を把握することや、既存の顧客を大切にするための施策を実施することなどが考えられます。

また、改善策を実施した後は、その効果を再度データ分析によって評価することも重要です。こうすることで、改善策が有効であるかどうかを客観的に確認することができます。

SFAを活用したデータ分析は、ビジネスの改善につながる重要な手段の一つですが、分析結果を基に改善策を立案し、実行し、その効果を確認することが大切です。

②必要に応じてExcelやスプレッドシートを利用する

SFAでデータ分析をする場合、SFAツール自体に標準搭載されている分析機能だけでは限界があります。そのため、必要に応じてExcelやスプレッドシートを利用することがあります。

Excelやスプレッドシートは、SFAツールよりも高度な分析機能を持っていることがあります。例えば、データの集計やグラフ化、条件に基づくデータの抽出などが可能です。また、複数のデータを結合することもできます。

ただし、Excelやスプレッドシートを利用する場合には、データの入力・取り出しや加工などに時間がかかることがあります。また、手作業で行うため、ヒューマンエラーが発生する可能性があるため、注意が必要です。

SFAツールでデータを集め、Excelやスプレッドシートで詳細な分析を行うことで、より正確なデータ分析を行うことができます。

③確実に改善できるところから取り組む

SFAでデータ分析をする際には、確実に改善できるところから取り組むことが重要です。

まずは、改善効果が見込める項目を抽出し、その項目についてデータ分析を行います。そして、その結果を基に具体的な改善策を考え、実際に改善を実行します。

改善によって効果が得られた場合、社員のモチベーションも向上するため、次の改善にもつながります。また、改善が見込めない項目については、改善できる要因が見つかるまで分析を継続することが大切です。

このように、確実に改善できるところから取り組むことで、改善の効果を確認しながらSFAの改善に取り組むことができます。

Salesforceを利用するとデータ分析が容易に!

Salesforceはクラウド型のSFAツールであり、ビジネスに関する様々なデータを収集・管理することができます。Salesforceのデータ分析が容易になる理由は以下のようなものがあります。

Salesforceでは、統合されたデータ管理システムによりビジネスに必要な情報を一元的に管理することができます。また、Salesforceを利用すれば顧客とのコミュニケーション履歴や商談の進捗状況など、ビジネスに必要な情報をリアルタイムに収集することも可能です。

他にもSalesforceは、データを視覚的に表現する機能があるためデータをわかりやすく可視化することができるので、簡単な分析であればExcelやスプレッドシートを利用する必要がありません。

さらに、Salesforceは、人工知能(AI)を活用した機能を備えているので、自動的に商談の確率を予測する機能や、次の行動を推奨する機能を利用することで売り上げ予測が可能となります。

まとめ

本記事では、SFAでデータ分析が必要な理由、データ分析の4つの種類、データ分析をする時のポイントについて解説しました。SFA導入の目的は、営業活動の効率化、平準化などが代表的ですが、ツールを導入するだけでは効果を得ることはできません。

組織によって課題はさまざまですが、データで分析をすることで、これまで思い込みや勘に頼らずに客観的に課題を捉えることができます。その後、改善策を実行することで営業活動の生産性向上につながります。

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