【営業DX】Marketing Cloud(マーケティングクラウド)とは?機能や特徴、メリットなどをわかりやすく解説
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最近では、好きなときにYouTubeやTwitterなどから興味のある商品やサービスについて情報収集するのが一般的となってきました。この傾向は個人に限らず、BtoB市場でも同様といわれています。そのため、企業の営業手法もDXする必要が出てきています。

本記事では、Salesforceの提供するMAツールの一つであるMarketing Cloudについて解説します。

目次

  1. Marketing Cloudの基礎知識
  2. Marketing Cloudを導入するメリット
  3. Marketing Cloudの主な機能
  4. Marketing CloudとAccount Engagement(旧Pardot)の違い
  5. まとめ:マーケティング活動を一元管理したいならMarketing Cloudを利用しよう

Marketing Cloudの基礎知識

Marketing Cloudは、株式会社セールスフォース・ジャパンが提供するマーケティングオートメーション(MA)ツールです。MAはマーケティング活動を仕組み化すること、およびそのために使われるソフトウェア(ツール)を指して使われる言葉のことで、マーケティング活動を自動化することができます。

Marketing Cloudは、Salesforce上に蓄積された顧客データを活用して、顧客と最適化されたコミュニケーションを取ることができます。そのコミュニケーションは、メール、SNS、ブログなど様々です。ここでは多く利用されている代表的な製品を簡単に紹介します。

Marketing Cloud Engagement

主に BtoC向け の マーケティングで活用されるMAツールです。収集された顧客情報の一元化やカスタマージャーニーの自動化に役立ちます。具体的にはSNSやメール、広告などさまざまなメディア、マルチチャネル・デバイスを横断して利用でき、顧客に合わせたコンテンツを最適なタイミングで提供できます。時間短縮、コスト削減にも効果が期待できます。

またサポート体制が充実していることも特徴です。プランは導入環境や条件によって異なるため、個別見積もりが必要です。

Marketing Cloud Account Engagement ( 旧称 Pardot )

Marketing Cloud Account Engagement(旧:Pardot)は、顧客への最適なマーケティングを支援するBtoB向けMAツールです。具体的には、主にWebサイトから受注確度が高い見込み客を発掘し、営業部門へ送客します。その主な機能は大きく5つあります。

(1)各種ツール・サービスとの連携機能
他社製品とのAPI連携・Salesforce製品との連携・広告サービスやキャンペーンサービスとの連携・SNSとの連携

(2)リード・トラッキング機能
リードごとのサイト閲覧履歴をリアルタイム計測できる・リードごとの行動を数値化しスコアリングし営業部門や関連組織への情報連携

(3)レポーティング機能
メール開封数・クリック数・受信側環境などのレポートを行う

(4)ランディングページ作成機能
ランディングページや資料請求フォームの作成が可能

(5)メールによるマーケティング機能
顧客ごとのパーソナライズ設定・リスト一括配信機能など

これらの機能を活用できるほか、Salesforce社提供の他の製品・サービス(CRMやSFA)とも連携可能なため、顧客一人一人に対して優良顧客への育成が可能となります。

Marketing Cloud Personalization ( 旧称 Interaction Studio または Evergage )

マーケティング、営業、カスタマーサービスを、AIによって自動化できるリアルタイムパーソナライゼーションツールです。

名称どおり、個々の顧客に対して1on1のきめ細かい対応を可能にするためのデータ分析と、顧客に合わせたサービス提供の最適化が可能になります。具体的には

  • 顧客のWebサイト閲覧履歴、行動履歴、購入履歴などのデータ収集と分析を行う
  • 収集、分析された情報は個別に識別子をつけ、情報統合し顧客ごとのプロファイルを作成
  • 顧客プロファイルから顧客ごとの好むパターンやサービスを分析
  • 上記から、マーケティング用途だけでなく、顧客の困りごとに応えるカスタマーサポート用途でも活用可能
  • 視覚的なレポート作成が可能

Marketing Cloud Customer Data Platform

カスタマーデータプラットフォーム(CDP)とは、企業が所有するデータを1か所に統合して有効活用できるようにしたものを指します。データの収集、分析、統合、リアルタイムのデータ活用、他のツールやサービスとの連携などが可能です。また統合的に管理することで、顧客に対してはより最適がが進められると同時に、最新の情報への更新も自動で、一括で行われます。

Marketing Cloud Intelligence ( 旧称 Datorama )

BtoC・BtoB両方で活用できる BI(ビジネスインテリジェンス)サービス。マーケティング活動を最適化し、コスト削減と営業チーム・パーソンのパフォーマンス向上に役立ちます。

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Marketing Cloudを導入するメリット

Marketing Cloudを導入するメリット

ここからは、Marketing Cloudを導入するメリットについて解説します。

  • メリット①マルチチャネル・デバイスでの利用やマーケティングキャンペーンが実行可能
  • メリット②顧客データを一元管理が可能
  • メリット③マーケティングに必要な機能が完備
  • メリット④Sales Cloudなどセールスフォースの他製品と連携可能
  • メリット⑤AI を活用したきめ細やかなパーソナライズが可能

一つずつ解説します。

メリット①マルチチャネル・デバイスでの利用やマーケティングキャンペーンが実行可能

Marketing Cloudでは、メール以外にもSNSや広告など様々なチャネルで利用する事ができます。

顧客ごとに最適化されたアプローチが可能なので、顧客ロイヤリティを向上させる事ができます。その結果、顧客は商品サービスを継続して利用するようになり、企業の業績向上も見込む事ができます。

メリット②顧客データを一元管理が可能

Marketing Cloudでは、オンラインやオフラインなどに関わらず、顧客の行動履歴などの情報を一元管理する事ができます。一元管理することで、企業全体で顧客データを活用する事ができ、効果的なマーケティング活動も可能となります。

メリット③マーケティングに必要な機能が完備

MAツールの中には、機能が絞られているものや、他のサービスとの併用を前提にしているものもあります。SalesforceのMarketing Cloudなら、マーケティング活動に必要な機能が完備されているので、他のツールを導入する必要がありません。

メリット④Sales Cloudなどセールスフォースの他製品と連携可能

Marketing Cloudは、Sales Cloudなどのセールスフォース・ドットコム社の他の製品と連携する事ができます。マーケティング活動以外にも、営業活動やカスタマーサクセス活動まで一気通貫して行いたい場合には、セールスフォース社の提供するサービスを利用するといいでしょう。

メリット⑤AI を活用したきめ細やかなパーソナライズが可能

AI技術による自動化で、従来の営業担当者による属人的なアプローチではなく、データに基づいた高度なターゲティングが可能になりました。また顧客のリアルタイムな行動履歴や好みを分析した結果によるサービス提供が可能なため、よりきめ細やかなパーソナライズが可能です。

Marketing Cloudの主な機能

Marketing Cloudの主な機能
(画像=metamorworks/stock.adobe.com)

Marketing Cloudには、次のような機能があります。

  • 機能①Customer 360 Audiences
  • 機能②Email Studio
  • 機能③Mobile Studio
  • 機能④Journey Builder
  • 機能⑤Social Studio
  • 機能⑥Advertising Studio

一つずつ解説します。

機能①Customer 360 Audiences

Customer 360 Audiencesは、顧客データを管理するプラットフォームのことです。オフライン・オンラインに関わらず、顧客と持った接点を全て一元管理する事ができるので、効果的なマーケティング活動を行う事ができるようになります。

機能②Email Studio

Email Studioは、メールマーケティングで使用するプラットフォームのことです。メールを配信するときに、顧客の属性や行動でセグメントして、顧客にあったメールを作成する事ができます。

また、配信したメールは開封率などマーケティング活動に必要なデータを蓄積する事ができるので、効果的なメールマーケティングを行う手助けをします。

機能③Mobile Studio

Mobile Studioは、顧客のモバイルデバイス(スマートフォンなど)に適切なタイミングで、プッシュ通知やSMSを配信できるプラットフォームです。顧客の位置情報をもとに店舗情報をプッシュ通知するなどの活用方法があります。

顧客のエンゲージメントを上げるのにMobile Studioは有効です。

機能④Journey Builder

Journey Builderは1対1のマーケティングのカスタマージャーニーを作成するプラットフォームです。カスタマージャーニーとは、顧客が製品・サービスと出会い、そこから購入・契約に至るまでの道筋のことで、企業が描く理想のシナリオとなっています。

Email StudioやMobile Studioなどのマーケティング活動を視覚的に表現する事ができます。

機能⑤Social Studio

Social Studioは、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアで自社について発信されているコメントを表示し、リアルタイムで分析する事ができる機能です。

ソーシャルメディアでの顧客の投稿をもとに、個別にカスタマーサポートを行ったり、パーソナライズされたアプローチを行う事ができます。

機能⑥Advertising Studio

Advertising Studioは、広告キャンペーンを最適化する機能のことです。顧客の属性や行動、購入履歴をもとに、もっとも効果のある広告キャンペーンを打つ事ができます。

新規顧客を獲得するときにも、Advertising Studioは役立つでしょう。

Marketing CloudとAccount Engagement(旧Pardot)の違い

Salesforceの提供するMAツールには、Marketing Cloud(マーケティングクラウド)の一部特化製品として Account Engagement(旧Pardot)があります。

Marketing CloudはBtoC、Account EngagementはBtoBのビジネスに向いていると言われています。これは、Marketing Cloudが集客型のビジネスに向いていて、Account Engagementは商談型のビジネスに向いているためです。

自社のサービスが、集客型なのか商談型なのかでMAツールを選べば、ミスマッチは少なくなるでしょう。

まとめ:マーケティング活動を一元管理したいならMarketing Cloudを利用しよう

本記事では、Marketing Cloudについて詳しく解説しました。Marketing Cloudは、集客型のビジネスに強みを持つMAツールとなりますので、Salesforceと合わせて活用することで営業活動とマーケティング活動をよりシームレスに連携することが可能です。

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