鼎談レポートシリーズ

欧州では、ドイツを中心にデータ基盤構築の動きが進んでいます。グローバルに広がるサプライチェーンを持つ日本企業も、将来的にはこの種の取り組みに関与する必要があると考えられます。ただ、要素技術開発主導で産業・事業を考えると言われてきた日本企業にとっては、この新しい取り組みに積極的に関与していくことが難しいと感じるかもしれません。しかし、企業活動をより効率的に行い、顧客の体験価値を高めるためには、この変化への適応が必須です。では、具体的にどういったアプローチが必要なのでしょうか。

今回は「次世代自動車における価値づくりのあり方」をテーマに、コアコンセプト・テクノロジー(CCT)CTOの田口紀成氏と、CCTのアドバイザーで東芝 デジタルイノベーションテクノロジーセンターのチーフエバンジェリストである福本勲氏が、スズキマンジ事務所代表でデンソー技術企画部キャリアエキスパートの鈴木万治氏を迎え、2023年6月21日にウェビナーを開催したものについて、その内容を再構成したダイジェストをお届けします。

鼎談レポートシリーズ
左より田口紀成氏(株式会社コアコンセプト・テクノロジー)、鈴木万治氏(スズキマンジ事務所)、福本勲氏(株式会社東芝)
鈴木 万治氏
スズキマンジ事務所 代表
株式会社デンソー 技術企画部 キャリアエキスパート

1986年(昭和61年)名大院工修了、日本電装(現デンソー)入社。宇宙機器開発やモデルベース開発など全社プロジェクトを担当。2017年から20年まで米シリコンバレーに駐在し、18年からは中国子会社のイノベーション部門トップも兼務。数週間ごとに米中を行き来する生活を送った。21年にスズキマンジ事務所(manji@manji3.com)を開業。
*本対談において、鈴木氏は個人の経験・見解からお話いただく形となります。所属する会社・組織とは関係するものではございません。
福本 勲氏
株式会社東芝 デジタルイノベーションテクノロジーセンター チーフエバンジェリスト
アルファコンパス代表

1990年3月、早稲田大学大学院修士課程(機械工学)修了。1990年に東芝に入社後、製造業向けSCM、ERP、CRMなどのソリューション事業立ち上げやマーケティングに携わり、現在はインダストリアルIoT、デジタル事業の企画・マーケティング・エバンジェリスト活動などを担うとともに、オウンドメディア「DiGiTAL CONVENTiON」の編集長を務める。また、企業のデジタル化(DX)の支援と推進を行う株式会社コアコンセプト・テクノロジーのアドバイザーも務めている。主な著書に「デジタル・プラットフォーム解体新書」「デジタルファースト・ソサエティ」(いずれも共著)がある。主なWebコラム連載に、ビジネス+IT/SeizoTrendの「第4次産業革命のビジネス実務論」がある。その他Webコラムなどの執筆や講演など多数。
田口 紀成氏
株式会社コアコンセプト・テクノロジー 取締役CTO兼マーケティング本部長
2002年、明治大学大学院 理工学研究科修了後、株式会社インクス入社。2009年にコアコンセプト・テクノロジーの設立メンバーとして参画し、3D CAD/CAM/CAEシステム開発、IoT/AIプラットフォーム「Orizuru」の企画・開発などDXに関する幅広い開発業務を牽引。2015年に取締役CTOに就任後は、ものづくり系ITエンジニアとして先端システムの企画/開発に従事しながら、データでマーケティング&営業活動する組織/環境構築を推進。
*鼎談メンバーの所属及びプロフィールは、いずれも2023年6月現在のものです。

目次

  1. 「Gaia-X」を基盤に「Catena-X」が発足 ヨーロッパの自動車産業で進むデジタル化
  2. 欧州で進むデジタルプロダクトパスポート法制化の動き
  3. DXは手段、目的は価値創生である カイゼンの達人ほどDXが苦手?
  4. テスラと「45万円EV」に見る、「シン・DX」のヒント
  5. 「つながる社会」への道は「守破離」にあり