製造業(メーカー)の年収ランキングを業種別・企業別に紹介
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製造業は未経験者でも働きやすい職種です。ところで年収ランキングにおいて、製造業はどれくらいの賃金水準なのでしょうか。離職率が高い企業は業界の平均年収などを確認し、待遇面の見直しを考えましょう。

目次

  1. 製造業の年収ランキング【他業種との比較】
  2. 製造業の年収ランキング【業種別】
  3. 製造業の年収ランキング【企業別】
  4. 製造業の年収ランキングで企業が意識したいポイント
  5. 製造業の年収ランキングを参考にして待遇面を見直そう

製造業の年収ランキング【他業種との比較】

製造業の平均年収は、全業種の中でどれくらい高いのでしょうか。厚生労働省が2022年3月25日に公表した「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、製造業は平均賃金で16業種中11位につけています。

業種平均月給年収換算
電気、ガス、熱供給、水道業41万9,700円503万6,400円
学術研究、専門・技術サービス業38万6,900円464万2,800円
金融業、保険業38万3,500円460万2,000円
教育、学習支援業37万3,900円448万6,800円
情報通信業37万3,500円448万2,000円
建設業33万3,200円399万8,400円
不動産業、物品賃貸業32万6,100円391万3,200円
鉱業、採石業、砂利採取業32万3,300円387万9,600円
卸売業、小売業30万8,000円369万6,000円
複合サービス事業29万6,700円356万400円
製造業29万4,900円353万8,800円
医療、福祉29万1,700円350万400円
運輸業、郵便行27万8,500円334万2,000円
生活関連サービス業、娯楽業26万8,200円321万8,400円
サービス業(※他業種に含まれないもの)26万5,500円318万6,000円
宿泊業、専門・技術サービス業25万7,600円309万1,200円
(参考:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査の概況」)

製造業の平均年収は353万8,800円であり、業種全体ではやや低い水準です。ただし、年齢別の平均年収を見てみると、50代後半までは安定して賃金が増える傾向にあります。

年齢製造業の平均月収年収換算
19歳以下18万2,000円218万4,000円
20~24歳19万9,000円238万8,000円
25~29歳22万9,900円275万8,800円
30~34歳26万300円312万3,600円
35~39歳28万9,400円347万2,800円
40~44歳31万1,300円373万5,600円
45~49歳33万2,400円398万8,800円
50~54歳35万9,800円431万7,600円
55~59歳36万1,900円434万2,800円
60~64歳26万5,700円318万8,400円
65~69歳22万6,900円272万2,800円
70歳以上22万1,100円265万3,200円
(参考:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査の概況」)

19歳以下から50代後半まで平均年収が増え続けていることから、製造業では年功序列型の企業が多いと考えられます。

製造業の年収ランキング【業種別】

求人情報・転職サイトのdoda(デューダ)によると、製造業で最も平均年収が高い業種は「たばこ」、次点で「トイレタリー」が高い結果となっています。

業種(製造業のみ)全体の平均年収男女別の平均年収年代別の平均年収
【1位】たばこ769万円男性:829万円
女性:538万円
20代:458万円
30代:689万円
40代:701万円
50代:999万円
【2位】トイレタリー552万円男性:608万円
女性:470万円
20代:449万円
30代:564万円
40代:661万円
50代:976万円
【3位】総合電機メーカー545万円男性:576万円
女性:441万円
20代:425万円
30代:567万円
40代:671万円
50代:864万円
【4位】香料480万円男性:555万円
女性:410万円
20代:362万円
30代:496万円
40代:─
50代:─
【5位】化学メーカー475万円男性:510万円
女性:392万円
20代:383万円
30代:490万円
40代:572万円
50代:716万円
【6位】自動車/輸送機器メーカー473万円男性:493万円
女性:391万円
20代:385万円
30代:500万円
40代:582万円
50代:755万円
【7位】電子/電気部品メーカー471万円男性:507万円
女性:373万円
20代:382万円
30代:475万円
40代:556万円
50代:694万円
【8位】機械/電気機器メーカー463万円男性:488万円
女性:381万円
20代:378万円
30代:469万円
40代:553万円
50代:699万円
【9位】鉄鋼/金属メーカー455万円男性:483万円
女性:365万円
20代:375万円
30代:468万円
40代:541万円
50代:665万円
【10位】ゲーム/アミューズメント機器メーカー452万円男性:483万円
女性:377万円
20代:352万円
30代:470万円
40代:541万円
50代:657万円
(※2021年9月~2022年8月にサービス登録をした約56万人が調査対象。)
(参考:doda(デューダ)「業種別に見る日本の平均年収(平均年収ランキング最新版)」)

いずれの業種も製造業全体の平均年収を上回っており、年齢を重ねるにつれて賃金が増える傾向にあります。上位の2業種は前年と同じ順位であり、前年比の増加幅ではたばこ産業がトップになりました(117万円増)。

製造業(メーカー)の年収ランキングを業種別・企業別に紹介
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製造業の年収ランキング【企業別】

以下のデータは、東洋経済オンラインによる「平均年収ランキング(※)」をもとに、製造業で平均年収が高い企業をまとめたものです。

企業名平均年収
【1位】キーエンス2,182万円
【2位】ソレイジア・ファーマ1,490万円
【3位】レーザーテック1,379万円
【4位】東京エレクトロン1,285万円
【5位】ファナック1,248万円

ここからはメーカーの種類別に、平均年収が高い企業を紹介します。

(※)2023年3月に公表されたランキング。上場企業のうち、平均賃金を公表していない企業や従業員数が10人未満の企業を除いた3,289社が対象。

電気機器メーカーの年収ランキング

企業名平均年収
【1位】キーエンス2,182万円
【2位】レーザーテック1,379万円
【3位】東京エレクトロン1,285万円
【4位】ワコム1,122万円
【5位】ローツェ1,122万円

電気機器メーカーは全体的に平均年収が高く、上記の「ローツェ」も全業種で32位にランクインしています。最も平均年収が高いのは、センサや安全機器などを手がける「キーエンス」となりました。

しかし、韓国などのアジア勢が台頭したことで、倒産に追い込まれている国内メーカーも見られます。また、2022年以降は新型コロナウイルスによる特需(巣ごもり需要など)が収束する傾向にあるので、特に家電メーカーは苦境に立たされる可能性があります。

医薬品メーカーの年収ランキング

企業名平均年収
【1位】ソレイジア・ファーマ1,490万円
【2位】サンバイオ1,247万円
【3位】シンバイオ製薬1,194万円
【4位】中外製薬1,155万円
【5位】武田薬品工業1,105万円

近年の後発品業界は苦境に立たされていますが、上場企業については高い平均年収を維持しています。中でも、がん領域の医薬品開発に取り組む「ソレイジア・ファーマ」は平均年収が高く、全業種でも8位にランクインしました。

最近ではデジタル技術の活用が注目されており、創薬研究などの効率化やコストカットに成功すれば、業界全体が成長するかもしれません。

機械メーカーの年収ランキング

企業名平均年収
【1位】ファナック1,248万円
【2位】ディスコ1,140万円
【3位】日本電技908万円
【4位】新日本空調908万円
【5位】ナカボーテック887万円

機械メーカーでは、協働ロボットを手がける「ファナック」が全業種中20位にランクインしています。ロボットのように最先端技術を駆使した製品は、DX(※)が推進されている影響で今後も注目される可能性があります。

(※)データやデジタル技術を活用して、ビジネスの変革や競争力の向上を目指すこと。「デジタルトランスフォーメーション」とも呼ばれる。

食品メーカーの年収ランキング

企業名平均年収
【1位】味の素1,046万円
【2位】サントリー食品インターナショナル1,030万円
【3位】DM三井製糖株式会社978万円
【4位】日本ハム848万円
【5位】江崎グリコ817万円

食品メーカーでは、うま味調味料で有名な「味の素」が1位に、清涼飲料を手がける「サントリー食品インターナショナル」が2位にランクインしています。しかし、2022年からは多くの原材料が高騰しているため、減益に陥っている企業も少なくありません。

新型コロナウイルスの収束次第では業界が潤う可能性もありますが、現状では輸送費や光熱費の高騰、食品ロスへの対応などの課題にも直面しています。

自動車メーカーの年収ランキング

企業名平均年収
【1位】トヨタ自動車857万円
【2位】日産自動車811万円
【3位】ホンダ778万円
【4位】いすゞ自動車753万円
【5位】─

自動車メーカーで全業種中500位以内にランクインしているのは、上記の4社のみです。業種内でトップになったのは、EV(電気自動車)の開発も進めている「トヨタ自動車」でした。

2040年には、世界の新車販売台数の半数がEVになると言われているため、業界構造や力関係に変化が生じるかもしれません。

その他の製品メーカーの年収ランキング

企業名平均年収
【1位】任天堂988万円
【2位】積水化学工業897万円
【3位】ビーピーカストロール897万円
【4位】フジミインコーポレーテッド897万円
【5位】JT897万円

その他の製品メーカーでは、ゲーム開発でお馴染みの「任天堂」がトップになりました。たばこ産業を手がけるJTも、全業種中119位にランクインしています。

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製造業の年収ランキングで企業が意識したいポイント

製造業の年収ランキングで企業が意識したいポイント

年収ランキングはただ眺めるだけではなく、自社の人材戦略に活かすことが重要です。例えば、同業他社の平均年収より低い場合は、求職者が集まらない可能性があるため、待遇面などの見直しが必要になるでしょう。

人手不足を解決するにはどのような施策があるのか、以下では企業が意識したいポイントを紹介します。

「同一労働同一賃金」が前提となる

雇用形態や能力によって不当な待遇差をつけると、多くの従業員は不満を感じます。そのため、従業員の年収を増やす場合であっても、「同一労働同一賃金」を前提に計画を立てなければなりません。

<同一労働同一賃金とは>

「同じ業務内容であれば同じ待遇にすべき」という考えのもと、働き方改革の柱としてパートタイム・有期雇用労働法などに盛り込まれた内容。不当な待遇差の解消が目的であり、政府はガイドラインやリーフレットなどを公開している。

特に注意したいのは、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の格差です。同じ業務をこなしているにも関わらず、例えば「ボーナスがない」「基本給が少ない」などの待遇差をつけると、同一労働同一賃金の考え方に反します。

従業員満足度を高めるには、契約社員や派遣社員はもちろん、正社員とアルバイト・パートタイマーの格差も是正することが必要です。

働き方改革にも同時に取り組む

大きな賃金アップが難しい場合は、働き方改革にも取り組むことを意識しましょう。業務環境や働きやすさを改善できれば、賃金を上げなくても従業員満足度は高められます。

また、製造業は現場に負担がかかりやすく、生産効率が売上に直結しやすい業種です。利益を増やすためにも、以下のような施策を検討してみてください。

<製造業の働き方改革の例>
・図面などの資料をデータ化(ペーパーレス化)する
・データをクラウドで管理し、情報共有をスムーズにする
・倉庫管理システムなどのデジタル技術を導入する

働き方改革によって業務効率が上がれば、利益が増えることで賃金アップも実現しやすくなります。

技術手当で賃金アップと人材育成を両立する

賃金を基本給として支払うのではなく、各種手当として支給する選択肢もあります。

製造業で見られる手当としては、技術手当が挙げられます。スキルアップに手当を支給すると、従業員の学習意欲やモチベーションが上がるだけではなく、求職者へのアピールにもつながります。

その他、資格の受験費用を補助したり、合格報奨金を支給したりする企業も見られます。賃金アップと人材育成を両立できる施策なので、積極的に検討してみましょう。

福利厚生の充実も選択肢の一つ

年収ランキングで上位を占めているのは、そのほとんどが大企業です。中小企業が賃金面で競争することは難しいため、「福利厚生の充実」も考えてみましょう。

福利厚生には各種手当の他、以下のようなものがあります。

福利厚生の種類具体例
住宅・通勤・住宅手当
・社宅制度
・通勤手当
育児・介護・託児所の設置
・独自の育休制度
・短時間勤務制度
財産形成・従業員持ち株制度
・個人年金の費用負担
・財形貯蓄制度
自己啓発・書籍購入の費用補助
・外部セミナーの費用補助
・勉強会の開催
文化・レクリエーション・懇親会の費用補助
・部活動への支援
・宿泊施設などの割引補助

製造業はケガのリスクが高いため、健康・医療系の福利厚生も役立ちます。例えば、すぐに治療を受けられる医務室の設置や、人間ドックの費用補助などを実施すると、安心できる業務環境を整えられるでしょう。

製造業の年収ランキングを参考にして待遇面を見直そう

本記事で紹介した製造業の年収ランキングは、あくまで目安となる情報です。実際には業種や規模による偏りがあるため、自社の年収が少ないからと言って無理に賃金を引き上げる必要はありません。

賃金を増やすことが難しい場合は、働き方改革や福利厚生の充実につながるような施策を考えてみましょう。

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