製造業のやりがいとは?向いている人・向かない人の特徴
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産業の要となる製造業には、どのような魅力があるのでしょうか。いくら高待遇な企業であっても、従業員のモチベーションを維持できない環境では退職者が増えます。求職者に有効なアプローチをするためにも、製造業ならではのやりがいを確認していきましょう。

目次

  1. 製造業でやりがいを感じられる瞬間
  2. 製造業のやりがい以外の魅力は?4つのメリット
  3. 製造業でやりがいを失う課題とは?
  4. 製造業でやりがいを感じさせるコツ
  5. 製造業のやりがいを感じやすい従業員とは?向いている人の特徴
  6. 製造業のやりがいを感じにくい従業員とは?向かない人の特徴
  7. 製造業のやりがいを理解し、採用活動や人材教育を見直そう

製造業でやりがいを感じられる瞬間

顧客とは直接関わらない業務であっても、製造業には多くのやりがいがあります。従業員がどのような部分にモチベーションを感じるのか、代表的なものを見ていきましょう。

形があるモノを作れる

サービス業とは違い、製造業では形があるモノを作ります。完成品を目にする機会が多く、案件ごとに目標生産数が設定されるため、製造業は達成感を得られる瞬間が多い傾向にあります。

また、作った製品が店頭に並ぶ場合は、人の役に立っていることを強く実感できるでしょう。

新たなモノを生み出せる

研究開発が行われる企業では、新たなモノを生み出せる可能性があります。

分かりやすい例としては、2007年に開発されたiPhoneが挙げられます。当時、タッチディスプレイが搭載された携帯電話は革新的であり、世界のスマートフォン市場に革命をもたらしました。

このようなモノづくりは社会貢献につながるため、携わる人材は強いやりがいを感じられます。

工夫を求められる場面もある

単純作業が多い製造業にも、工夫を求められる場面はあります。例えば、ミスを減らすために組み立て方を変えたり、モチベーション維持のために個人的な目標を設定したりなど、プロセスや心構えを変えるだけで業務効率は上がります。

また、工夫の成果が「生産数」などの形で現れるため、製造業は日々のスキルアップを実感しやすい特徴があります。

製造業のやりがい以外の魅力は?4つのメリット

製造業の魅力としては、収入面や働きやすさも挙げられます。また、単純作業に没頭できる現場が多いため、ストレスの少なさから製造業を選んでいる人材も多いでしょう。

ここからは、現場の従業員が実感できる製造のメリットを紹介します。

1.定年まで安定した収入を期待できる

以下のデータは厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査の概況(※2022年3月25日公表)」を参考に、業種別の平均賃金をまとめたものです。製造業については、年齢別の賃金もあわせて紹介します。

業種全年齢の平均月収
製造業29万4,900円
鉱業、採石業、砂利採取業32万3,300円
建設業33万3,200円
電気、ガス、熱供給、水道業41万9,700円
情報通信業37万3,500円
運輸業、郵便行27万8,500円
卸売業、小売業30万8,000円
金融業、保険業38万3,500円
不動産業、物品賃貸業32万6,100円
学術研究、専門・技術サービス業38万6,900円
宿泊業、専門・技術サービス業25万7,600円
生活関連サービス業、娯楽業26万8,200円
教育、学習支援業37万3,900円
医療、福祉29万1,700円
複合サービス事業29万6,700円
サービス業(上記以外)26万5,500円
(参考:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査の概況」)
年齢男女計の平均月収男女別の平均月収
19歳以下18万2,000円男性:18万5,000円
女性:17万4,800円
20~24歳19万9,000円男性:20万4,100円
女性:18万9,300円
25~29歳22万9,900円男性:23万7,100円
女性:20万8,600円
30~34歳26万300円男性:27万800円
女性:21万9,000円
35~39歳28万9,400円男性:30万5,400円
女性:22万6,200円
40~44歳31万1,300円男性:33万4,200円
女性:23万4,100円
45~49歳33万2,400円男性:36万2,000円
女性:24万4,800円
50~54歳35万9,800円男性:39万7,200円
女性:24万1,300円
55~59歳36万1,900円男性:40万6,000円
女性:23万3,400円
60~64歳26万5,700円男性:29万1,700円
女性:19万500円
65~69歳22万6,900円男性:24万9,200円
女性:17万3,800円
70歳以上22万1,100円男性:23万9,500円
女性:17万7,300円
(参考:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査の概況」)

40代から賃金が下がる業種も多い中、製造業の平均月収は50代後半まで伸びています。全年齢の平均月収はそれほど高くありませんが、定年付近まで安定収入を維持しやすいことがうかがえます。

ただし、性別によって賃金の傾向はやや異なり、女性の場合は50代後半になると平均月収が下がり始めます。

2.学歴や実務経験を問われない求人が多い

正社員に限定しても、製造業では学歴不問や未経験者歓迎の求人が多く見られます。格安で入寮できる企業や、働きながら職人を目指せる企業などもあるため、目的に合わせて就職先を選びやすい傾向があります。

また、資格取得支援制度を導入している企業が多い点も、求職者にとっては大きな魅力でしょう。真面目に働きながら手当がつく資格を取得すれば、収入アップやキャリアアップも狙えます。

3.ワークライフバランスを実現しやすい

製造業と聞くと、夜勤作業や納期に追われるイメージがあるかもしれません。しかし、実際には完全週休二日制を導入している企業や、決まった勤務時間の企業が多いため、プライベートの予定を立てやすい傾向があります。

長期休暇になると稼働が停止する工場もあるので、製造業はワークライフバランス(※)を実現しやすい業種です。

(※)仕事と私生活のバランスが取れていること。働き方改革の一環として、内閣府は「ワークライフバランス憲章」を策定している。

4.人間関係のストレスを感じにくい

製造業の業務は、マニュアル化された作業が中心になりやすいです。サービス業のように接客をしたり、顧客と直接顔を合わせたりする機会が少ないため、顧客対応中心とは違い人間関係のストレスを感じにくい魅力があります。

また、一人で没頭できる作業が多い点も、製造業ならではの特徴でしょう。納期や生産ノルマを守る必要はありますが、チームワークが苦手な人でも安心して働き続けられます。

製造業のやりがいとは?向いている人・向かない人の特徴
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製造業でやりがいを失う課題とは?

製造業には、やりがいやモチベーションを失う課題も潜んでいます。業界全体が衰退するリスクもあるため、特に若い人材のモチベーションに関わる課題には、積極的に取り組む必要があるでしょう。

具体的にどのような課題があるのか、特に押さえておきたいものを紹介します。

1.デジタル化やDXが進んでいない

工場などの生産現場は、他の業界に比べて「デジタル化やDXが進んでいない」と言われています。特にコストが限られている企業や、システムが複雑化している企業は、新たなツールを導入しづらい傾向があります。

また、生産活動自体はできている現場が多いので、「今さら何を変えるのか」や「得られるメリットはあるのか」と疑問を感じている経営者もいるでしょう。しかし、デジタル化やDXが進んでいないと従業員の負担は一向に減らず、さらにヒューマンエラーや事故のリスクも高まります。

デジタル化やDXは、生産性だけではなく労働環境全体の改善にもつながるので、業界や業態に関わらず推進することが求められてきています。

2.生産現場と管理のギャップ

生産現場である工場と、指示を出す管理側に考え方の違いがあると、現場のやりがいやモチベーションは失われます。そのため、管理側にあたる上司や経営陣は、現場の状況をよく理解した上で指示を出さなければなりません。

例えば、生産目標を達成できていない時期に、「結果を出してほしい」と指示をするだけでは現場の反感を買います。目標を達成できていないことは現場も分かっているので、単に要望を伝えるのではなく、具体的な改善策を伝えることが重要です。

現場が抱えている問題によっては、新たなリソース(人材や設備など)の投入が必要になることもあるでしょう。

3.ベテラン社員や職人の高齢化

これまで日本社会を支えてきた団塊世代は、すでに第一線を退いています。製造業では、それに次ぐベテラン社員や職人の高齢化も進んでいるため、技術伝承が難しくなっている企業は少なくありません。

必要な知識・スキルが伝承されないと、現場の生産性はどうしても下がってしまいます。この状況を理解せずに、管理側が「現場のスキルが不足している」といった指摘をするようでは、必然的に従業員のやりがいが失われるでしょう。

会社全体の若返りを図るためにも、DXなどで生産プロセス全体を見える化し、技術伝承のためのマニュアルを整備することが重要です。

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製造業でやりがいを感じさせるコツ

製造業にはストレス要因もあるため、業務環境の整備を怠ると離職者は増加します。従業員にやりがいを感じさせるには、モチベーションアップにつながる施策を打ち出す必要があります。

どのような施策が有効なのか、いくつか例を見ていきましょう。

2つの目的に分けて目標設定をする

製造業は生産効率に左右されるため、生産数などの目標を設定している企業は多いでしょう。しかし、従業員側にメリットがなく無理をさせるような目標は、大きなストレスの原因になります。

会社と従業員の双方にメリットが生まれるように、製造業では「生産性の向上」「労働環境の改善」に分けて目標を設定しましょう。

生産性の向上につながる目標労働環境の改善につながる目標
・製造リードタイムの設定
・従業員1人あたりの労働生産性の向上
・不良率の引き下げ
・工数差異の確認と改善 など
・定期的な清掃活動の実施
・機材や材料の保管場所を整理
・危険な作業の察知と改善 など

適切な目標を設定するには、現状をしっかりと把握する必要があります。過去のデータ分析や従業員へのヒアリングを実施して、現場が抱えている課題を明確にしましょう。

技術手当や資格手当を支給する

単純作業が多い製造業にも、ひとり一人を正当に評価する方法はいくつかあります。例えば、特別なスキルや資格に対して手当を支給すると、企業側には以下のメリットが生じます。

<技術手当や資格手当を支給するメリット>
・受け取った従業員のモチベーションがアップする
・ひとり一人の能力を見極めやすくなる
・従業員の学習意欲が高まり、現場のスキルアップにつながる
・求職者へのアピールになる

導入の手間や費用はかかりますが、人材育成と働き方改革を同時に進めたい企業にとっては効率的な方法です。ただし、規定が曖昧になると無駄なコストが生じるため、対象となる技能や資格、適用期間などの条件はしっかりと設定しましょう。

健康・医療の福利厚生や特別休暇を充実させる

残業や夜勤が続きやすい企業は、福利厚生で従業員の負担を軽減しましょう。具体策としては、健康・医療に関する福利厚生の充実や、特別休暇を与える方法が挙げられます。

健康・医療に関する福利厚生の例特別休暇の例
・人間ドックや予防接種の費用補助
・医務室や診療所の設置
・医薬品購入時の費用補助 など
・リフレッシュ休暇
・アニバーサリー休暇
・病気休暇
・誕生日休暇 など

また、育児や介護にあたる従業員が多い場合は、託児所の設置や短時間勤務制度の導入なども有効です。従業員の働き方やライフスタイルを踏まえて、ワークライフバランスを実現できるような環境を整えましょう。

コミュニケーションの機会を増やす

社内コミュニケーションの機会は、懇親会や社内イベントなどの開催で増やせます。頻度によっては負担になりますが、自由参加の余地があれば大きなストレスにはなりません。

他にも、コミュニケーション不足の解決策には以下のような方法があります。

<社内コミュニケーションを増やす施策>
・新入社員に別部署の先輩社員を割り当てる(メンター制度)
・上層部や上司が意識的にアイスブレイクを入れる
・社内にカフェスペースを設置する
・1対1で行うミーティングを実施する など

また、チャットツールやビデオチャットの導入も、コミュニケーションの円滑化に役立ちます。中には全社的な共有事項を伝えるために、社内専用のSNSを利用している企業も見られます。

社内SNSのイメージ

これらのツールも活用しながら、誰でも気楽に発言できるコミュニケーションの場を増やしましょう。

製造業のやりがいを感じやすい従業員とは?向いている人の特徴

業務環境の改善に取り組んでも、従業員の性格を変えることはできません。そのため、採用活動の段階で「合う・合わない」を見定めて、製造業にやりがいを感じる人材を選ぶことも重要です。

ここからは、製造業に向いている人の特徴を紹介しましょう。

集中力があり、正確に作業ができる人

製造業は単純作業が多いからこそ、現場では集中力が求められます。また、ミスをすると後の工程に影響するため、正確に作業ができる人も製造業に向いています。

製造業にもさまざまな業務がありますが、基本的には図面やマニュアルを理解し、その内容通りに同じプロセスを続ける作業が中心です。目の前の作業に没頭できる人材であれば、実務経験がなくても着実なスキルアップを期待できます。

健康的で体力がある人

製造業に限った話ではありませんが、心身ともに健康的であることが前提になります。いくら力仕事が得意であっても、すぐに体調を壊す人材や立ち仕事をする体力がない人材は、大きな戦力にはなりません。

一人でも従業員が倒れると、カバーをすることで他の従業員に負担がたまります。結果的に現場全体の生産性が下がってしまうため、採用活動では健康面・体力面の見定めも必要です。

一人でこなす作業が好きな人

一人での作業が好きな人は製造業に向いていますが、時にはチームワークが求められるシーンもあります。例えば、重い機材を移動させたり、膨大な数の部品を仕分けたりする場面では、複数人による協力が欠かせません。

つまり、製造業にも最低限のコミュニケーション能力は必要です。単に黙々と作業をこなすだけではなく、「一人での業務」と「チームでの業務」をうまく切り替えられる人材が重宝されます。

製造業のやりがいを感じにくい従業員とは?向かない人の特徴

製造業は誰にでも合う業種ではなく、以下のように向かない人もあるかと思います。

<製造業に向かない人>
・モノづくりに興味がない人
・企画やアイデア出しなど、考える仕事が好きな人
・常に誰かとコミュニケーションを取りたい人
・人並みの体力がない人

上記の他、誰かに監視されていないと手を抜く人も製造業には向きません。多くの職場では、個々の従業員に一つの作業が任されるので、正確な作業ができないと周りに迷惑をかけてしまいます。

従業員本人がストレスをためないためにも、製造業向きの方を見極めてもいいかと思います。

製造業のやりがいを理解し、採用活動や人材教育を見直そう

製造業はともすると単純作業が多く、納期に追われやすい業種です。しかし個々の業務を見てみるとさまざまなやりがいがあります。

従業員のやりがいを企業側が理解すると、採用活動や人材教育の方針が変わってきます。向いている人材を確保できるように、従業員の立場になって業務環境を分析してみましょう。

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