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【建設DX】インフラ分野のデジタルトランスフォーメーション ~国をあげてDXの取組みが加速していく~

技術情報
2021-11-09

インフラ分野のDXとは

建設業界でもゼネコンや建設コンサルタント各社によるデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)の取組みが進んでいます。令和2年度には国土交通省が「インフラ分野のDX」を掲げ、省内でも横断的にDX推進していくためDX推進本部を立ち上げました。

この「インフラ分野のDX」とは、経済産業省が掲げた「DXレポート」にある定義と似ていますが、”社会経済状況の激しい変化に対応し、インフラ分野においてもデータとデジタル技術を活用して、国民のニーズを基に社会資本や公共サービスを変革すると共に、業務そのものや、組織、プロセス、建設業や国土交通省の文化・風土や働き方を変革し、インフラへの国民理解を促進すると共に、安全・安心で豊かな生活を実現(※図1)”するものとして、インフラ工事における変革の必要性を打ち出したものになっています。

インフラ分野におけるDXの推進について※図1 出典:国土交通省 インフラ分野におけるDXの推進について

この提言がなされた背景として、平成28年度からi-Constructionによる現場の生産性向上に向けた施策が進められたことが挙げられます。昨年からはコロナ禍によるテレワークやオンライン会議による非接触での働き方が浸透し、それを発展させICTと絡めた施策として「遠隔臨場」などのリモート型の新たな検査の試行も始まっており、対面主義にとらわれない建設現場の新たな働き方の必要性が受発注者ともに認識されています。この非接触・リモート型の働き方への転換は、5G・AI・クラウドなどの最新のテクノロジーが普及し始めた状況も相まって、これらICTを活用した現場の生産性と非接触による安全性向上をより推し進めるものとなります。

では、「インフラ分野のDX」では具体的に何をテーマにDXの推進を謳っているのでしょうか。それはインフラ工事の様々な工程におけるデジタル化の促進が主であり、その中には

  1. 行政手続きや暮らしにおけるサービスの変革
  2. ロボット・AI等活用で人を支援し、現場の安全性や効率性向上
  3. デジタルデータを活用し仕事のプロセスや働き方を変革

と言う大きく3つのテーマを具体化しようとするものになっています。このうち建設業界に関わるのは2.と3.です。1.も関係しますが、より国民に向けたサービスの向上と言う側面が強いと言えます。この2.と3.をテーマにしたDXの具体的施策とはどのような事があげられるでしょうか。

DXの実現にはAIも活用していく

インフラ工事における現場の生産性向上に向けた取組みは進んでいますが、一方でまだ属人性の高い作業も残っており、また重機と人の接触など、現場内の事故も依然課題となっています。属人性の解消や安全性を向上させていくには、測量機などのICT活用の他、最新のテクノロジーを駆使して現場業務を変革していく事が重要です。「インフラ分野のDX」の提言には、ロボットやAIの活用を促す具体的な活用シーンにも触れられています。

例えば、ブルドーザーやバックホウに代表されるICT建機は、一部の動作は完全自動化されており、オペレーターによる操作を支援するマシンガイダンスの活用も一般的です。ただしこれらはオペレーターが建機に搭乗する必要があります。これに対し国が期待するのはICT建機による施工業務そのものをAIが自律的に判断し建機を自動で動かすことです(※図2)。これは建設業の従事者不足・高齢化と言う状況において、熟練技能の効率的な伝承を技術でカバーしていく事が狙いであり、無人で建機を効率的に施工作業させる事ができ、かつ周囲で作業する人の数を適正化できれば追突事故を減らせて安全性が向上します。

インフラ分野のデジタル・トランスフォーメーション(DX)※図2 出典:国土交通省 インフラ分野のデジタル・トランスフォーメーション(DX)

インフラ供用後の維持管理業務においても以下のような期待があります。点検作業では、これまで膨大な数の構造物を目視で確認し、撮影した画像と調書をこれまた手作業で整理し、システムに記録として残していますが、これも属人性が高く、また同じ個所を定期的に検査・メンテナンスするにもまだまだデジタル化の余地が残されています。ここでも検査の画像データをAIで画像診断し、損傷や変状の有無・変化を人の判断によらず常に一定の精度で捉え、デジタルデータとして記録を精緻に残し、誰でもそのデータに即時アクセスできるような仕組みにしていく事が期待されていると言えます。

陸上のインフラ構造物だけでなく、港湾の工事も同様です。港湾は陸上とは異なり、水面下の状況は目視で検査等を行う事が難しく、マルチビームなどの測量機を活用して、水中の施工状況の見える化を図ってきました。この施工結果を可視化していく際にも得られたデータからノイズとなる異常値を人が都度手動で削除するのではなく、AIで自動的に除去すると言った業務の効率化が期待されています。このように、今後更にICTが発展し、ロボットとAIが、人が判断し作業していた現場業務の自動化に寄与する事で、人的リソースを補い、作業の生産性と安全性を担保する事が可能になっていくと考えられます。

将来の現場運営はどう変わるのか

では、ロボットやAIが本格的に活用されるようになると、現場は将来的にどう変わっていくのでしょうか?

まず身近で現実味を帯びたAI活用として、先に触れた熟練技能の伝承を目的に、特定の工種におけるナレッジを形式知化して、AIチャットボットにより作業指示を行う、といった使い方が実際に進められています。これはスマートフォンやiPadを現場内で持ち歩く職員にとって、容易に過去の施工解決事例を辿り現実世界の困りごとを解決するヒントを得る事が可能になります。そしてAIが解決策を抽出して自動的に提示するにあたり、出来れば職員にもその解決に至る考え方や必要性を気づきとして与える、そう言ったエッセンスを組み入れた仕組みになれば知見伝承・人財育成の観点でより好適だと言えます。

更により先の将来を見据えると、ムーンショット目標にあるサイバネティック・アバター基盤を活用した現場運営が現実のものとなるかもしれません。ムーンショットとは困難で独創的ではあるものの、実現すれば非常にインパクトがありイノベーションを生む計画を指します。令和2年度に内閣府は様々な領域においてムーンショット型研究開発を推進し、社会・環境・経済といった諸課題の解決を目指す構想を提示しました(※図3)。

ムーンショット型研究開発制度の概要※図3 出典:内閣府 ムーンショット型研究開発制度の概要

この中には目標が9つあり、そのほとんどが2050年の実現を目指すもので、このうち目標1と3は人が身体・脳・空間・時間の制約から解放され、AIとロボットの共進化により、自身のアバターとロボットを遠隔操作して仕事をしていくというものになっています。建設現場でも直接的・肉体的な労働環境からアバターが自身に代わって現場を運営していくと言ったドラスティックな変革を遂げるかもしれません。決して非現実的な事と捉えず、このような労働環境を30年後に向けてどのように実現していけるのか、そのロードマップ含めた施策を具現化していく事もDXだと言えます。非常に長い道筋ではありますが。

建設DXを実現するには

これはアイデアの一つにすぎませんが、CCTではDXを着実に実現していくため、変革により目指す業務の姿(ToBe)を明らかにし、ロードマップ策定を行います。また現場業務で活用できるIoT/AIの技術開発も行っています。次回のコラムでは、建設業におけるAI活用について触れていきます。インフラ工事において現場業務の属人性を脱却し、安定稼働させて職員の負担を軽減できる取組みを目指したい、そのような検討がありましたらこちらから弊社にご相談ください。。

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