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IoTを活用するための基盤、プラットフォームについて

入門
2019-11-04
IoTを活用するための基盤、プラットフォームについて

IoTとは「Internet of Things」の略で直訳すれば「モノのインターネット」です。IoTを活用する、ということはモノからデータを収集し、そのデータを活用して暮らしや業務に役立てることを意味します。

では、モノにセンサーを取り付ければすぐにIoTが実現され、活用できるようになるのでしょうか。残念ながらセンサーがひとりでにデータを収集して分析結果を示してくれるわけではありません。データを収集し、活用できるようにするためには、「IoTプラットフォーム」を活用するのが近道です。

IoTプラットフォームとは

IoTを活用するための基盤、プラットフォームについて

プラットフォーム(Platform)とは足場や土台を意味する英語で、コンピュータシステムにおいては動作する環境や基盤のことを指します。IoTプラットフォーム、つまりIoTの基盤と一言で言っても、人によってまたは文脈によってその示す範囲は様々で、ある時はソフトウェアであったり、またある時はシステム全体のことを指していたりします。

指し示す範囲は様々ですが、なぜIoTを活用するためにはプラットフォームが必要なのでしょうか。モノにセンサーを取り付けた後、そのデータを活用するためには、データを収集するためのプログラムを組んだり、収集したデータを蓄積するためのクラウドを用意したり、蓄積データを分析し可視化するためのツール開発が必要であったり、というシステム構築が必要です。

これらのシステム構築にゼロから取り組んでいたのでは時間もコストもかかってしまいます。そこでアプリケーション、セキュリティ、クラウドなど、それぞれの機能についてパッケージ化されているものを利用することにより、開発コストと時間を削減することが一般的です。「それぞれのパッケージ」または「すべてをまとめてパッケージ化されているもの」がいわゆる「IoTプラットフォーム」です。

IoTプラットフォームで提供する機能

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IoTプラットフォームでは、IoTシステム開発のための様々な機能を提供しています。その中で代表的な機能をいくつか紹介します。

システム開発環境

アプリケーションを開発するために必要なソフトウェアなどの組み合わせで構成された開発者の作業環境。例えばコードを書くためのテキストエディタやプログラミング言語を処理するためのコンパイラ、プログラムの実行環境が含まれています。中には業界ごとのテンプレート機能やSDKと呼ばれるアプリケーション開発に必要なプログラムやドキュメントをパッケージ化したものを提供しているものもあります。

デバイスの管理

接続している複数のデバイスの状態を管理する機能を提供します。デバイスを登録したり、リアルタイムで監視したりすることができます。例えば工場内にある温度計や湿度計、カメラやマイク、設備機器に取り付けられているその他のセンサー、タブレットなどのハードウェアをクラウド上で一元管理することができます。

認証・セキュリティ

クラウド上でデータをやり取りする際にアクセスしてきたデバイスやユーザーを認証し、セキュアに通信する機能を提供します。IoTデバイスとクラウド間でデータのやり取りをする際にはオープンなネットワークを介することが多いため、外部からの不正アクセス、通信傍受、データの改ざん、なりすまし等の脅威に晒されており、セキュアな通信は非常に重要な機能となっています。

データの蓄積や連携

収集した大量のデータを蓄積するための機能、インターネットへの接続環境やクラウドサービスなどを提供します。データを第三者に連携するためのAPI (Application Programming Interface)を備えているものもあります。例えばiCloudやGoogle Driveはクラウド上にデータを保管・蓄積することができます。

データの分析や可視化

収集したデータをリアルタイムで表示したり、見やすい形に整形して表示したりする機能を提供します。オープンソースソフトウェアとして提供されているものが多く、他のオープンソースソフトウェアやクラウドサービスと連携してデータの分析や可視化を実現します。

このように、IoTプラットフォームが提供する機能は多岐に渡っています。
自前で開発すると時間やコストがかかってしまうものばかりですので、プラットフォームを利用するメリットが大きいでしょう。

IoTプラットフォームの紹介

IoTを活用するための基盤、プラットフォームについて

様々な機能を提供するIoTプラットフォームですが、実際にどのようなものがあるのでしょうか。提供する企業ごとに強みやカバーする範囲が異なっていますので、いくつか具体例を紹介していきます。

ファナック「FIELD system」

例えば、産業用ロボットで有名なファナックでは独自のプラットフォーム「FIELD system」を開発しています。このプラットフォームはロボットや設備機械分野に強みを持っており、200社以上のパートナー企業を集めています。しかし、「FIELD system」はリアルタイムに工作機械の状況を把握するためにエッジ(工作機械側)での利用が想定されており、工場内の様々なメーカーの機械同士を横につなぐためには他企業のプラットフォームを利用する必要があります。

PTC「ThingWorx」

PTCが提供する「ThingWorx」は産業用のIoTプラットフォームです。PTCはもともとCADやPLM(Product Life cycle Management/製品ライフサイクル管理:製品の企画、設計、開発、製造、販売、廃棄に渡る製品のライフサイクルにおける全ての情報を一元管理すること)などのソフトウェアを提供していましたが、様々なサービスを買収したため豊富な機能のラインナップを揃えています。例えば、プログラミングすることなくドラッグ&ドロップでIoTアプリケーションを開発することができる「ThingWorx foundation」や、AR(Augmented Reality/拡張現実:実際の風景とバーチャルの風景を重ねて表示する技術)機能を提供する「Vuforia Studio」などのサービスがあります。

AWS 「AWS IoT」

Amazonが提供するIoTプラットフォーム「AWS IoT」はAWS経由でIoTデバイスと接続、連携することができるサービスです。ゲートウェイ(クラウド内のプライベート空間とインターネットを接続するためのコンポーネント)、認証機能、デバイスの管理機能などを提供しています。インターネットを経由してデータを送受信する際に、高いセキュリティが確保されていることが強みとなっています。他のAWSのサービス、例えばS3(ストレージ)やDynamoDB(データベース)、Kinesis(データを収集、処理、分析するサービス)と統合されているため、これひとつでIoTソリューションとして完結することができます。

IoTプラットフォームの分類

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上記で説明したように、各プラットフォームで強みやカバーする範囲は様々です。矢野経済研究所は、産業用IoTプラットフォームをカバーする業種(水平方向の展開)と機能(垂直方向の展開)で4つに分類しました。

産業用IoTプラットフォームのカバー範囲

IoTを活用するための基盤、プラットフォームについて
出所:(株)矢野経済研究所「デジタルイノベーション動向に関する法人アンケート調査(2017年)」
2017年4月14日発表

「水平・業種フルカバレッジ型」

水平方向に幅広い業種をカバーするIoTプラットフォームです。汎用性が高く、ユーザーやSIer(Systems Integrator:ITシステムのコンサルティングから設計、開発、導入までを行う会社)などがカスタマイズしてIoTシステム開発に利用することを主要コンセプトとしています。

「垂直・機能フルカバレッジ型」

開発・導入から応用アプリケーション、基礎アプリケーション、クラウド基盤、ネットワーク、センサー類まで、IoTソリューション構築に関わるすべてをカバーするIoTプラットフォームです。一つの業種に特化して全ての機能を提供するので、汎用性は低いです。

「垂直・アプリ提供型」

垂直・機能フルカバレッジ型から、開発・導入・運用支援を差し引いたIoTプラットフォームです。業種に特化したものです。

「垂直・基本機能提供型」

目的や機能を絞って提供されるIoTプラットフォームです。

出所:同「デジタルイノベーション動向に関する法人アンケート調査(2017年)」をもとに当社一部加筆

例えば、工場の特定の設備機器を監視し異常を検知したい、というような場合には垂直・基本機能提供型を選択するのがよいですし、工場全体を管理したい、というのであれば垂直・アプリ提供型を選択するのがよいでしょう。また、垂直・機能フルカバレッジ型は全ての機能を含んでいるのでスピーディに業種に特化したIoTシステムを開発することができますが、その分導入コストがかかります。また、垂直型のIoTプラットフォームは一つの業種に特化しているためカスタマイズが難しく、汎用性が低いという特徴がありますので必要に応じて水平・業種フルカバレッジ型をカスタマイズして利用するという選択肢もあるでしょう。

このように、目的や予算に合わせたプラットフォームを選定する必要があります。

IoTプラットフォームを活用するためには?

これまで述べてきたように、IoTプラットフォームと一言でいってもカバーする業種や提供する機能は非常に多岐に渡っています。

自社のIoTシステム開発にプラットフォームの利用を検討する際には、そもそもプラットフォームが必要なのか、どのような機能が必要なのか、どの程度の規模のものが必要なのか、コストはどの程度かけられるのか、などを考慮しなければなりません。

「IoTプラットフォームを利用したいけどどのように選定すればいいのかわからない。」
「初めから多額の予算はかけられない。」
「どのようにカスタマイズすればよいのかわからない。」

コアコンセプト・テクノロジーが提供している「Orizuru」は製造業向けIoT/AIソリューションで、様々なメーカーの設備機器のデータを可視化することのできるプラットフォームを提供しています。IoTプラットフォームの導入・活用をご検討中の方は、ぜひお問い合わせください。

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