IoTの活用事例 ~身近なデバイスから産業界の取り組みまで~

■Contents
コラム「IoTとは?バズワードの歴史と技術要素」で定義や歴史などをご紹介したIoTですが、IoTが世の中に広まっていくに連れて「スマート○○」という言葉もよく見かけるようになってきました。街にはスマート〇〇が溢れかえっています。
「スマート」というのは「賢い」という意味ですが、IT技術を使うことによって高度な情報処理ができるようになったシステムやモノのことを「スマート○○」と呼んでいます。一番身近なものではスマートフォンではないでしょうか。
この、現在どこにでもある「スマート〇〇」こそが、IoTの活用事例そのものなのです。
今回のコラムではIoTの活用事例について、スマートフォンはじめ個人の暮らしにかかわる身近なものから、産業界で企業が導入している大掛かりなものまで紹介していきます。
IoT事例 in 暮らし
一番身近なところにあるIoTの事例はスマートフォンアプリを利用したサービスやスマート家電です。
スマート決済
あらかじめスマホアプリに決済情報を登録しておき、入店時にアプリを起動してチェックインすると店舗側に利用者情報が通知され、注文時には確認ボタンを押すだけで支払いが完了するシステム。
スマホリモコン
家電に流れる電流を計測するためのセンサーを部屋に設置しておくことで、どこにいてもスマートフォンでリアルタイムに家電の稼働状況をチェックすることができ、状況に応じて家電のON/OFF切り替えやタイマー設定ができます。
スマートロック
ドアに小さなデバイスを取り付けることにより、スマートフォンでのデジタル制御で施錠・解錠することができます。物理的な鍵が必要ないので、鍵を失くす心配がなく、他人に施錠を依頼するために一時的にアクセス権を渡すといったことも可能になります。
スマートフォンを使ったIoTではスマートフォンでモノからの情報を受け取る必要があります。そのためモノ側に状況を把握するためのデバイスを設置して、そこから送られてくる情報を利用するといった形になるものがほとんどですが、最近ではモノ自体にセンサーが組み込まれている、いわゆるスマート家電も増えてきました。
IoT事例 in エンターテイメント
次に、製造業と並んで、IoTの活用に適しており経済規模が拡大すると言われているエンターテイメント業界の事例です。
IoTおもちゃ
おもちゃの電車や積み木をスマートフォンで操作できたり、遠隔でけん玉の対戦をすることができたりします。おもちゃを動かすにはプログラミングの要素が含まれているものも多く、知育玩具としても注目されています。
リゾート型のスマートシティ
IR推進法(Integrated Resort)の成立に伴い、日本でもホテル、ショッピングモール、カジノなどが一体となった統合型リゾート、つまり商業型大規模スマートシティが誕生する動きが本格化してきました。従来はスマートシティというとエネルギー管理が主体となっていましたが、商業中心のスマートシティでは監視カメラや個人認証によるカジノフロアのセキュリティ対策や、デジタルサイネージによるお店の空き状況や広告の表示などが行われる予定です。シンガポールやマカオのリゾートでは既に導入されています。
IoT事例 in 医療
エンターテイメントに続いて、医療やヘルスケア分野でのIoTの事例です。
ウェアラブルデバイスによる体調管理
医療費削減のためには、傷病の予防や、重症化を防ぐことが重要です。対象者にウェアラブルデバイスを装着してもらい、そこから取得した身体データを遠隔で監視することで健康維持の手助けをすることができます。また、緊急性の低い症状であれば遠隔で診療を行うことで通院のストレスを軽減し、病院内での感染を防ぐことも可能です。
スマート治療室
手術室にあるメスなどの器具、患者の心拍や体温などをモニタリングする機器、患部を診断するレントゲンやMRIなどの機器の全てがインターネットで繋がり、情報をリアルタイムに監視できるようにすることで迅速かつ最適な対応ができるようになります。医療機器のIoT化は機器の設定ミスによる医療過誤の削減にも繋がるでしょう。
平均寿命が世界トップクラスの日本では、医療費の増大が社会課題となっています。コスト削減のための医療効率化にIoTの活用が求められています。
IoT事例 in 車
続いてはIoTという言葉が今ほど流行る前から自動運転が話題となっていた自動車の分野でのIoT事例です。
自動運転車
私たちが普段運転中に見ているメーターやカーナビ画面(※)などは、稼働している自動車が取得しているデータのほんの一部に過ぎません。エンジン回転数やスピード、急ブレーキや急発進の情報など自車の走行データだけでなく、周囲の走行環境やマップ情報を収集し、他の車と位置関係をリアルタイムに共有することで自動運転が可能となるのです。
自動車から取得したデータを利用した保険
走行距離と運転の状況(安全運転を行ったか)から車両保険額を割引するようなサービスも既に提供されています。
90年代からいちはやくIoTが導入されていた自動車分野は、ビッグデータやAIの活用により今後ますます発展していくことでしょう。
欧州で導入が進むMaaS(Mobility as a Service :ICT を活用して交通をクラウド化し、公共交通か否か、またその運営主体にかかわらず、マイカー以外のすべての交通手段によるモビリティ(移動)を1つのサービスとしてとらえ、シームレスにつなぐ新たな「移動」の概念)と併せて、自動車に限らず交通産業の構造がガラっと変わってしまうことになるかもしれません。
※:カーナビ画面は運転中おおよそ「2秒」以上注視していると違反となる場合があります。
IoT事例 in 工場
最後に、IoTと最も親和性が高いと言われている製造業の分野です。
スマート工場
工場内の工作機械、センサー、ロボットなどをネットワークで繋ぎ、製造工程のデータをリアルタイムで取得することで製造現場を「見える化」します。見える化によって分かりやすくなったデータを分析することで業務の効率化を図ることができます。また、得られたデータはどんどん蓄積されていくので、それらのビッグデータをAIで解析することによって従来人間が行ってきた品質管理や業務配置が迅速かつ正確に行われるようになるのです。
中小企業が多く、熟練技術者に頼るところが大きい日本の製造業ですが、IoTの導入により、見える化や知識の蓄積、他の工場との連携が実現されれば現在問題となっている人手不足や属人化が解決し、今後の発展にも繋がるのではないでしょうか。
IoTの活用によるメリット
今回は各分野におけるIoTの活用事例を紹介してきました。IoTの普及により、個人の暮らしの利便性や、受けられるサービスの質が向上します。また、企業にとっては業務を効率化することでコストの削減につながります。さらに、IoTによって得られた膨大なデータを活用することによって、今までにない新たなビジネスを創出することも可能になります。
IoTを活用して業務を効率化したい、コストの削減をしたい、得られたデータを活用したい、新しいビジネスモデルを構築したい、そのような方はぜひ、コアコンセプト・テクノロジーまでお問い合わせください。
また、製造業に関しては、豊富な製造業の知識を元に、製造業向けIoT/AIソリューション「Orizuru」を提供しておりますので、IoTの導入・活用をご検討中の方は、ぜひお問い合わせください。